出版社内容情報
思う相手は友人の妻だった――世間に許されぬ恋に苦悶する人々の心理を浮き彫りにする二作。
内容説明
「大風は突然不用意の二人を吹き倒した」友のために手放したはずの恋、仲睦まじい夫婦が抱える影―季節の移ろいとともに揺れ動く心を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
34
『それから』は、なんだかんだ言って、ドラマのある小説だ。友人の嫁に横恋慕する話だし、いわゆる高等遊民の主人公が一大決心をする話なのだから。それに比べ、『門』は地味な印象が拭えない。社会から距離を置き、ひっそりと暮らす夫婦の休日小説といった趣きがある。ドラマらしいドラマもさほど起こらない。けれど、読んでいて、ザワザワとした気持ちになってくるのはどうしてだろう。始まって間もなく、伊東博文暗殺の話題が出てくる。(つづく)2017/06/16
たつや
7
「それから」のタイトルが漱石の「三四郎」のそれからだから、それからで良い。こんな感じでつけたらしい。タイトルにこだわりが無い漱石先生が好きだ。代助の虚無感が現代のニートにも通じる物があり、不倫も含め、人類にとって、普遍的なテーマを扱っていて、面白い。長編だが、新聞に連載されたので、毎日、起承転結を意識してることが浮かび上がると、漱石の苦労も想像出来る。「門」のそれからの禊の為に宗教の門を叩くというテーマは興味深いが、三部作といわれるだけあり、完成された美しさを感じた。2024/12/12
saga
1
それから 友人の奥さんを奪う話し。 友人の奥さんがお金を借りに来てから、ぐっと距離が近くなったような。 最後は、父に自分の気持ちを伝え、勘当される。 2021/05/04
鯉二郎
1
この巻に収録されている「それから」と「門」は既に文庫で読んだが、全集で読むのは初めて。小説の感想は文庫版に譲り、ここでは全集の小さな発見を書く。「それから」の「十」、代助はリリー、オブ、ゼ、ヴァレーという花を活ける。同じ個所で岩波文庫も新潮文庫も鈴蘭と表記している。この全集を読むまで鈴蘭の英訳を知らなかった私は、lily of the valley、この言葉の響きに感銘を受けた。直訳すれば谷間の百合。三千代との自然の愛か、親が決める結婚か、その狭間で煩悶する代助の心の象徴ではないか。2019/12/03
きょうすけ
0
『三四郎』『それから』に続く前期三部作の最終章。 全てを投げ出してでも略奪婚を選んだドラマティックな決意の果てには、逃れようのない厳しい現実が待ち受けていた? 主人公の前に立ちはだかる「門」の存在は、一体何を象徴しているのか? ブログにて考察記事を書いています! https://ks-novel.com/gate/-/33470/.html2022/10/29
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