出版社内容情報
のどやかで「非人情」な自然の美を追求した俳句的小説『草枕』。富や権力を牛耳る「文明のももんがあ」たちに憤りつつも、どこか愉快なおもむきの阿蘇登山を舞台とした『二百十日』。文学を志すも「一人坊っち」の孤立感にさいなまれる青年を軸に、近代人の孤独と情熱をえがく『野分』。瑞々しくも野心的な三作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
21
『草枕』『二百十日』『野分』の三編が収録された『定本 漱石全集』第三巻。コミカルな描写もそうだが(『野分』の軽妙な掛け合いはまるで落語のようだ)、芸術論が繰り広げられる点においても、デビューからのスタイルが継承された三編だ。『草枕』がダントツでおもしろい。冒頭の一文「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」が有名だが(そう考えると、漱石の作品に馴染みのない俺ですら『吾輩〜』も『坊っちゃん』も、冒頭を誦んじることができる。これって、すごいことだよ)、(つづく)2017/03/03
たつや
5
「草枕」「野分」「二百十日」を収録。「草枕」がずば抜けている。冒頭の「知に働けば」の部分は鳥肌が立つ。ストーリーどうこうではなく、一行一行に重みがある。野分と二百十日はともすれば、落語のようで、のんびりしているが、心地良く読めるので、好きである。2025/01/03
Tonex
1
最新の漱石全集。「草枕」だけ読む予定で借りたが、せっかくなので全部目を通した。注解を参照しながら読んだので時間がかかったが、この全集は注釈を読まないと手に取る意味がない。2017/04/03
鏡華月
0
人の感情なしに客観的に書かれるスマートな本だと思った。登場人物の話がコントみたいで読んでいるほうが笑えてきた。誰にも介入することなく話は進んでいくので読みやすかった。2017/04/02
Qfwfq
0
★4.52023/01/02
-
- 電子書籍
- おひとりさま母さん 2 マーガレットコ…