目次
第6章 夢工作
第7章 夢過程の心理学にむけて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PukaPuka
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夢の内容と無意識の欲望の関係を探っている。最後の訳者による解説で、ヴィトゲンシュタインの引用(性みたいな大事な問題が夢に出るのは当然で、どこから出発しても最終的にはその主題になる)はまったくその通りと思う。フロイトによれば、人々の様々な行動の背景に性的問題があり、夢がその理解に寄与する訳である。ヴィトゲンシュタインは皮肉っているのだが、人間の脳が古い脳を新しい脳が包み込んでいる構造をみても、もとを辿ればそうなるか。縄張り争いだって性的なものだしね。性的という言葉の意味をどこまで広げるかにもよるが。2016/03/19
鏡裕之
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フロイトの夢解釈を見ていると、キリスト教的な、強い性的抑制と強い父権的な倫理観によって精神的に疾患している人たちのもの、という感じがしてしまう。あまり日本人には当てはまらないのでは、と感じてしまう。ぼくはポルノ作家だけれども、それにしても性にばかり当てはめすぎだな、と感じてしまう。2015/12/05
3J28
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後編も読了。思想自体は把握済みなのでサクサク読むことが出来た。ダジャレ的な「呈示可能性への顧慮」など、眉唾に感じられる部分も多々(無論それは承知で読んでいる)。無意識の欲望としてのオイディプス・コンプレックスを特権的な地位として認め、すべてに貼り付けることは、ヴィトゲンシュタインのようなアイロニカルな批判も、D=Gやアルトーのような激烈な批判も、免れるものではないだろう。この書の本性的な意義は、欲動理論に繋がる終盤よりも、ラカンが言及するような「実践的な」精神分析の方法論なのだと思う。2021/09/01
Masakazu Shimamura
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1989年にフロイトは父親を亡くし、1900年に本書を出版する。友人である耳鼻科医フリースとの手紙を通し、フロイトは自己分析を行い、自身の夢を考え、夢への理解に到達する。私たちが心の危機を迎える時、一時的に何かに逃避したとしても、自らの心を考えることなくしてその苦難からは逃れられない。自らの心を顧みるという作業を通して達せられる一つの仕事は『夢解釈』のように心の真実に近づくクリエイティブなものなのだろう。その作業には、フロイトーフリースとの対話のように、信頼できる他者の共同なくしては決して達せられない。2018/07/12