出版社内容情報
プラトンのイデア論を多くの誤解から救い出し,その解釈の基本線を提示するとともに,形而上学の存在理由を説く.主著『イデアと世界』に結実した中期の諸論文に,海外研究書に対する書評を加える.
内容説明
思想の原像がもつ力を現代に甦らせる偉業。プラトンのイデア論を多くの誤解から救出し、その解釈の基本線を示すとともに、形而上学の存在理由を説く。
目次
イデアと世界―哲学の基本問題(言葉―基本問題への導入のために;形而上学の存在理由―二つの歴史的原型をめぐって;プラトン的対話形式の意味とその必然性―文学と哲学;プラトンのイデア論における「もつ」「分有する」および「原範型―似像」の用語について―その世界解釈における思惟の骨格;知るもの、生きるもの、動くもの―プラトン『法律』第10巻の自然哲学と「プシューケー」論について ほか)
書評(F・M・コーンフォード『プラトンの「国家」』『書かれざる哲学』;W・J・オーツ『アリストテレスと価値の問題』;R・S・ブラック『プラトンの『ソピステス』』;W・K・C・ガスリー『ギリシア哲学史』第四巻、第五巻)
感想・レビュー
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Bartleby
5
「ギリシア哲学と現代」で気になったプラトンの場の描写について読む。アリストテレス的には「これは机だ」と記述されるものが(後期)プラトン的には「机のイデアがいま場のここにうつしだされている」になる。しかし、この記述法以前の「分有」の理論がアリストテレスの「実体‐属性」的に理解されてしまい、その後のプラトン解釈として広まってしまったと説明される。この説明は面白くわかりやすいけれど、場の記述法のもつ可能性についてはこの論文だけではまだ分からないところも多かったです。2013/05/20