出版社内容情報
3批判書を完成した後のカント晩年の哲学的宗教論.人間の理性に信をおく道徳的理性宗教の理念をもって既成の啓示宗教,キリスト教にむかい,人間本性のうちなる根元悪,善の原理と悪の原理,神の国,奉仕と偽奉仕などを論じる.
内容説明
“道徳は必然的に宗教にいたる”。『純粋理性批判』で「私は何を知ることができるか」を問い、『実践理性批判』で「私は何をなすべきか」を探求したカントが、「私は何を希望しうるか」を主題として、真の宗教のあるべき姿を論じる。
目次
たんなる理性の限界内の宗教(悪の原理が善の原理とならび住むことについて、あるいは人間本性のうちなる根元悪について;人間の支配をめぐっての善の原理による悪の原理との戦いについて;善の原理による悪の原理にたいする勝利、そしてこの世での神の国の建設;善の原理の支配下における奉仕と偽奉仕について、あるいは宗教と聖職制について)
宗教哲学序文準備原稿
たんなる理性の限界内の宗教のための準備原稿
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
8
「たんなる理性の限界内の宗教」本文と準備草稿収録だけど、本文のみでご勘弁願いました。カントのいた東プロイセンで王様が変わって啓蒙思想に対する事前検閲が始まり、結局、「外地」イエーナで印刷されたとのこと。哲学的宗教論と題して理性哲学と啓示宗教の関係を論じつつ、カント自身が願うキリスト教の在り方を述べている。奇跡を否定しないけれど、狂信や迷信に堕することなく、理性的に最高善を追求するための杖としての信仰を願うという考えはヤスパースの哲学的信仰と大きく重なると思いました。2025/04/20
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