出版社内容情報
夏目漱石や正岡子規らに称賛された20代の初期創作を中心に,幼年回想記や漱石・子規らの追憶を綴った作品を収録.「団栗」「竜舌蘭」など,寺田随筆のなかでもひときわ人気の高い作品が集められている.
内容説明
「科学者の随筆家」寅彦の作品を網羅。「団栗」「竜舌蘭」など、二十代の初期創作を中心に、幼年回想記や漱石・子規らの追憶を綴った作品を収録。
目次
1(根岸庵を訪う記;東上記;半日ある記;星;祭;車;窮理日記;鴫つき;高知がえり;初旅;明治三十二年頃;鴫突き;追憶の冬夜;追憶の医師達;詩と官能;ベルリン大学(1909-1910)
海水浴
糸車)
2(蛙の鳴声;子規の追憶;高浜さんと私;夏目漱石先生の追憶;思出草;子規自筆の根岸地図;埋もれた漱石伝記資料)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaorie
3
寺田さんの書く文章は、他者に対する目線がとても暖かい。 ほんのちょっとした日常の一コマや、人の表情を切り取って 絵のように描く文章も、華美になることなく、親しみやすい。 こういう文章を書けるようになりたいと、いつも思っているけれど、 本当に難しい。2013/05/04
Ted
1
'96年12月刊。○創作は文体も古く読みにくく面白くない。逆に、かつて寅彦と交流があったり、交流はなくとも断片的に強い印象を残した人物に関しての回想記が面白い。一度も会ったことがないのに時空を超えてその人物像がありありと目に浮かぶ。この類の寅彦の小品が一番好きだ。2019/05/08
いちはじめ
1
寅年にちなんで、というわけでもないが、寺田寅彦全集に手を出す。明治時代に書いた創作は、やはり後年の科学エッセイなどと比べると数段落ちるか。ただ、その時代の風俗を記した部分は興味深い。書かれたのは明治ではないが、当時を回想して、海水浴を「塩湯治」といっていたなどというあたりとか。2010/01/14