ギリシア悲劇全集〈6〉エウリーピデース(2)

ギリシア悲劇全集〈6〉エウリーピデース(2)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 428p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000916066
  • NDC分類 991
  • Cコード C0398

出版社内容情報

ギリシア悲劇は詩形式の文芸である.清朗の春,新作が上演された.余りにも人間的な,余りにも現代的なギリシア古典文芸の精華に新たな息吹を与えることを願い,全篇を新訳,脚注・解説を付し,夢を託す陶器の破片のように凛と美しい「断片」をも集成して刊行する.ここにいるのは,他でもない,私たちなのである.

目次

アンドロマケー
ヘカベー
ヒケティデス―嘆願する女たち
ヘーラクレース

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

240
感想は『ヘカベー』のみ。ギリシアに敗れたトロイアの王妃ヘカベーの物語。息子たちは戦死し、ヘカベー自身は奴隷の身となる。万一の場合に備えてトラキア王に託していた末の息子も、そこで王に殺される。唯一残された末娘のポリュクセネーも生贄 として殺される。全てを失ったヘカベーに残されたのは、トラキア王ポリュメーストールへのせめてもの復讐だけ。この劇はしばしば統一性が問題となるようだが、徹底した悲劇の主人公ヘカベーを終始舞台に立たせることによって、劇としての統一感は強く主張されているのではないかと思われる。⇒2025/10/03

ヴェネツィア

240
『アンドロマケー』のみの感想。分かりにくい劇である。なぜなら、劇の前半と後半が繋がりは有しているものの、別々の伝承を語っているかに見えるからである。すなわち、前半はアンドロマケーの置かれた苦悩が描かれ、後半はネオプトレモスのアポロン神殿での最期が語られるからである。前半はまだしも、敗軍の将の妻であったアンドロマケーの悲劇として成り立っているが、それでも彼女が一旦はペーレウスによって解放されてからは、姿を見せなくなる。そんなところに登場するのが、プリアモスである(直接は舞台には登場せず、使者が最期を語る)⇒2025/09/27

ヴェネツィア

234
『ヒケティデス』のみ。この作品は邦訳の副題に―嘆願する女たち―と付けられているように(そもそもギリシア語原題のヒケティデスがそういう意味であるしい)、「嘆願」をテーマにしている。アルゴスはテーバイとの戦いに敗れたのだが、多くの戦死者の遺体がテーバイの地にそのままになっている。そこでアルゴスで戦死した将兵の母たちがアテナイの王テーセウスに、遺体の返還交渉を嘆願しにやってくるのである。テーセウスの交渉が決裂したために、彼は軍を率いてテーバイとの戦に臨むことになる。テーセウスの勝利によって、遺体は返還され⇒2025/10/08

ヴェネツィア

216
感想は『ヘーラクレース』のみ。ゼウスの妻ヘーラーに憎まれたヘラクレスの悲劇を語る。ヘラクレスは、ゼウスとアルクメーネーの間に生まれたのだが、ヘーラーの妬心は深い。ヘラクレスの妻と子どもたちが、あわやテーバイ王のリュコスによって命を奪われようとする寸前にヘラクレスが冥界から帰還するのだが、ヘーラーによって狂乱させられ、彼らを自ら手にかけてしまう。ギリシア悲劇においては、神々と人間との距離が近いばかりか、しばしば混交する。それは、このエウリピデスにおいてとりわけそうした傾向が強いようだ。この劇にも、ヘーラー⇒2025/10/10

風に吹かれて

20
 『アンドロマケー』、『ヘカべー』、『ヒケティデス‐嘆願する女たち‐』、『へーラクレース』の四編収録。  自分の血筋のものに国をつがせるために前妻と前妻が生んだ子を殺そうとする王姫や戦争で息子を亡くした母親たちの悲しみ、あるいは様々な助力を得ながら苦難から生き延びる女性など、文字どおり劇的に進行する悲劇。読んでいて、こういう劇を誰が鑑賞していたのだろうと疑問に思った。 →2023/03/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/836192
  • ご注意事項

最近チェックした商品