ギリシア悲劇全集〈4〉ソポクレース〈2〉

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  • サイズ A5判/ページ数 464p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000916042
  • NDC分類 991
  • Cコード C0398

出版社内容情報

ギリシア悲劇は詩形式の文芸である.清朗の春,新作が上演された.余りにも人間的な,余りにも現代的なギリシア古典文芸の精華に新たな息吹を与えることを願い,全篇を新訳,脚注・解説を付し,夢を託す陶器の破片のように凛と美しい「断片」をも集成して刊行する.ここにいるのは,他でもない,私たちなのである.

目次

アイアース
トラーキーニアイ―トラーキースの女たち
エーレクトラー
ピロクテーテース

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

252
『トラーキーニアイ』のみ。本篇は数あるヘラクレス伝承の1つなのだが、ここではその最後を描く。彼は死に際して、これまでの武勲の数々を列挙し、いわば武勲詩のようなものを披露する。劇の目的の半ばは、むしろここにあったのではと思わせもする。だが、悲劇として見るならば、あきらかにそれはヘラクレスの妻のデーイアネイラのそれである。彼女は、ヘラクレスが陥落させたオイカリアの王女イオレーを側室に迎えようとしているのを知り、苦悩する。それまでひたすらヘラクレスの無事を祈願し続けてきただけに苦悩は深い。こうした苦悩を描いた⇒2025/09/01

ヴェネツィア

251
感想は『アイアース』のみ。ギリシアの大英雄アイアースを描く。ただ、この劇ではアイアースの最も活躍していた武勲は、彼の死後に異母弟のテウクロスによって回想されるのみで、直接に描かれることはない。むしろ、ソポクレスが描くのは狂気に陥ったアイアースであり、自ら死を選ぶアイアースである。しかも、最後はオデュッセウスによって、死後の蹂躙からは救われるが、アガメムノーンら他の名だたる武将たちからは散々に貶められる始末である。劇はその後を描いてはいないが、テクメーッサ(アイアースの妻。ただし、アイアースによって⇒2025/08/25

ヴェネツィア

250
『エーレクトラー』のみの感想。物語の主軸を成すものは根幹は一つであり、2つの表象をとる事柄。父のアガメムノーンをアイギストスと、母のクリュタイムネーストラーによって殺害されたエーレクトラーと弟のオレステース。オレステースにとっては復讐劇の物語、そして姉のエーレクトラーにとっては、ひたすらに悲嘆の物語である。この場合、より動的に解決を図ることができるオレステースに対して、エーレクトラーにはその手段がない。では、彼女が静的でしかないのかというと、そうではない。また、そのために妹のクリューソテミスが彼女とは⇒2025/09/02

ヴェネツィア

222
『ピロクテーテース』のみ。オデュッセウス物語の派生系の1つかと思うが、ピロクテーテースの名は初めて。もちろん、当時の人々にとっては旧知のものであっただろう。オデュッセウスは、ここではむしろ敵役というと、いささか言い過ぎではあるものの、役柄としてはそうだ。そして、オデュッセウスとピロクテーテースの間で葛藤を背負うのがネオプトレモスである。かつて、テオドス島で毒蛇に噛まれ、それ故にレームノス島にオデュッセウスに置き去り にされたピロクテーテース。彼はその後も、毒に苦しみ続ける。彼の唯一の拠り所はヘラクレスの⇒2025/09/04

風に吹かれて

19
オデュッセウスに追い詰められ精神に異常をきたして自死する『アイアース』、へーラークレースの死を描く『トラーキーニアイ-トーラーキースの女たち-』、殺されたアガメムノ―ンの子らを描く『エーレクトラ―』、死に際のへーラークレースからトロイヤー戦争の時に使用した武具(弓、矢)を贈られた『ピロクテーテース』の物語の四編を読んだ。 ヘラクレスは不死身とばかり思っていたのだが、自ら焼死することは知らなかった。 読みながら人物相関図をメモ。親族関係などが分かり読みやすくなる。 → 2023/02/25

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