内容説明
湯川博士は生前、「混沌」という言葉をよく口にされた。これは終生の愛読書となった『荘子』の中の寓話に由来する。漢籍をはじめ、日本の古典、洋書と、博士の読書は広く深い。本巻では、読書から得たさまざまな想念と思索を綴った興趣つきない随筆を収める。実弟小川環樹博士が、心暖まる思い出やエピソードを交えながら解説。
目次
1 東洋の思想(父から聞いた中国の話;少年時代の読書;徹底ということ;「荘子」;「墨子」;「文章軌範」;「唐詩選」;知魚楽)
2 日本の古典(古典と私;「近松浄瑠璃」;浄瑠璃の文章と節づけ;「山家集」「伊勢物語」;「近世畸人伝」;「狂言記」;「東西遊記」;「源氏物語」;心をとめて見きけば)
3 西欧の伝統(アテネの集い;ギリシャの自然と天才;エピクロス;デカルト;「ピエル・キュリー伝」;「ナンセン伝」;エラスムス「平和の訴え」;「ラッセル放談録」;「カラマーゾフの兄弟」;「舞姫」;「海潮音」;「あめりか物語」)
4 科学者の心(詩と科学;私どもの使う言葉;読書偶感;目と耳;洋書にのこる思い出;「わが世界観」「晩年に想う」;自分の書いた本;1日生きることは)
5 読書と人生(読書と人生;読書漫録;歳をかさねること)
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