出版社内容情報
一七世紀、日本で商業出版が始まった。人びとが本によって知を共有する〈書物の時代〉の到来である。今日まで続くこの大変革は、読書という営みを通して心を治め、家の存続を願い、世界と自己との関係性を問う、「思想主体」としての民衆を列島各地に生みだした。「書物の思想史」を提唱してきた近世史家の重要論考を集成。
内容説明
一七世紀、日本で商業出版が始まった。人びとが本によって知や情報を共有する〈書物の時代〉の到来である。列島史上において今日まで続くこの大変革は、読書という営みによって心を治め、家の存続を願い、世界と自己との関係性を問う、「思想主体」としての民衆を各地に生みだした。農書・軍書・医薬書・天文暦書などの具体的な分析を通して、書物による近世の社会変容を明らかにし、広い視野のもと「書物の思想史」を提唱する。
目次
序章 日本近世の時代環境―『農業全書』から考える
第一章 書物がひらいた思想形成―軍書・医薬書・天文暦書から安藤昌益へ
第二章 『浮世物語』から時代を読む
第三章 書物がもたらした社会変容―歴史を作る、主体を作る
第四章 一上層農民の蔵書から―「書物の思想史」研究のために
第五章 天道とコスモロジー―神・儒・仏の交錯
第六章 「日本」意識の形成―近世における家・国家・地域
終章 近世政治常識のゆくえ
著者等紹介
若尾政希[ワカオマサキ]
1961年、岐阜県生まれ。1988年、東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、一橋大学名誉教授、人間文化研究機構理事。日本近世史・思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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