出版社内容情報
社会的規制から経済を解放し、公的負担の削減を進め、雇用を多様化させた新自由主義。しかしその夢は破れて久しく、格差の拡大、少子高齢化などを招き、さらには地球温暖化やコロナ禍には対処しえないことが明らかになった。折り重なる危機から脱却し、オルタナティブを展望するには。資本主義を根底から問い続けた碩学の遺著。
内容説明
一九八〇年代、反ケインズ主義的な政策潮流として登場した新自由主義は、新古典派ミクロ理論に基づいて社会的規制から資本主義を解放し、民営化と公的負担の削減をすすめ、労働組合を弱体化して多くの人びとを非正規雇用に再編した。しかし当初の期待は破れて久しく、成長の衰退、格差の拡大、少子高齢化などを招き、さらには地球温暖化やコロナ禍にも対処しえないことがいまや明白になった。新自由主義が招いた今日の多重危機から脱却し、働く人びとが主人公となる社会のビジョンを論じる。
目次
1 プレリュード(価値概念の進化とその歴史的基礎―マルクスのアリストテレスとの対話から;資本主義の螺旋的進化―グローバリゼーションと新自由主義)
2 新自由主義的資本主義の危機(サブプライム恐慌からユーロ危機へ―ケインズ主義はなぜ機能しないのか;現代資本主義における貨幣・金融の政治経済学―ラパヴィツァスとディムスキーの論争をめぐって;格差再拡大の政治経済学―『二一世紀の資本』を読む;新自由主義的資本主義の再考―D・コッツの新著によせて;世界経済の構造変化と先進諸国の衰退)
3 典型例としての日本資本主義(日本における住宅金融と金融不安定性;日本の人口動態の危機―マルクスの資本主義的人口法則の観点から;日本資本主義の多重危機)
4 必要とされるオルタナティブ(マルクスの経済理論による社会主義への展望;二一世紀型の社会民主主義と社会主義の政治経済学―D・ハーヴェイの提起した論点をめぐって)
著者等紹介
伊藤誠[イトウマコト]
1936年生。経済学者、東京大学名誉教授。東京大学経済学部教授、國學院大學経済学部教授、国士舘大学大学院グローバルアジア研究科教授、日本学士院会員を歴任。2023年2月7日没。日本を代表するマルクス経済学者として大きな功績を遺した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
takao
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