出版社内容情報
被害者の視点を無視する政治に価値はない。感情や主観による声を切り捨ててきた従来の政治理論を批判し、名もなき市民による「不正義の感覚」こそが民主主義を成立させる理由を明快に説き起こす。「恐怖のリベラリズム」で知られる現代政治哲学の巨人シュクラーによる、もう一つの「正義論」。
内容説明
不運と不正義の違いとは?なぜ不正義は蔓延するのか?正義よりも不正義を考えるべき理由とは?感情や主観を切り捨てる政治理論の限界を指摘し、“不正義への感覚”を無視する社会の危険性を説く。“恐怖のリベラリズム”で知られる政治哲学の泰斗による不正義論入門。
目次
第1章 不正義にふさわしい地位を与える
第2章 不運と不正義
第3章 不正義の感覚
著者等紹介
シュクラー,ジュディス[シュクラー,ジュディス] [Shklar,Judith N.]
1928‐1992。ラトヴィア・リガに生まれる。1950年にカナダ・マギル大学で修士号、55年にハーバード大学で博士号を取得後、講師をへて同校で長らく教授を務める
川上洋平[カワカミヨウヘイ]
1979年生。専修大学准教授。専攻は西洋政治思想史
沼尾恵[ヌマオケイ]
1980年生。慶應義塾大学准教授。専攻は政治思想史・政治理論
松元雅和[マツモトマサカズ]
1978年生。日本大学教授。専攻は政治哲学・政治理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そらないわ
3
タイトルのとおり、不正義についての考察。文学作品を例にとるなどしてかみ砕いているが、それでもよくわからん。訳者解説がよくまとまっているので、それだけでもよいかも。不正義についての感覚が少し身に覚えがあるので、新しい見方がひらけたような。だが、感覚は個人的なため、その解決は難しい。政治的絡みも。2023/11/01
スコットレック
2
文章は難しいが、理解できなくはない。さらに深く理解するには少なくとも何回も読む必要があると思わせる。(本書の翻訳を担当された御三方の尽力の賜物)この塩梅が絶妙。最後の方で本書は約30年前に書かれたものと知って仰天!読んでいて全く気づかなかった。30年経ったいまでも全く古びていない。だからこそおどろいた。本書のテーマは人類にとって普遍的なもの。そして30年という期間くらいでは社会はそう簡単には変わらないということか・・。2023/10/14
-
- 和書
- 海洋の道 考古学的冒険