出版社内容情報
「俺は国際的の居候」と嘯く大正時代の作家、大泉黒石。ロシア人を父に持ち、複数語に堪能なコスモポリタンだった。『中央公論』連載の『俺の自叙伝』で一世を風靡するが、才能を妬まれ、虚言家だと罵られ文壇追放、忘れられた作家となる。国家も民族も飛び越え、人間性の普遍へと向かおうとした異端の文学者が、今、蘇る。
内容説明
コスモポリタン文学の先駆者、百年を経てついに蘇る!「俺は国際的の居候」と嘯く大泉黒石、またの名をキヨスキー。ロシア人を父に持ち、ヨーロッパを股にかけた少年時代。『中央公論』連載の『俺の自叙伝』で話題を呼び、異国情緒と怪奇趣味の短編で一世を風靡するものの国粋色に染め上がった文壇から追放され、零落の晩年を過ごす。波瀾万丈の人生を送った大正時代のベストセラー作家、初の評伝。
目次
虚言の文学者
トルストイを訪問した少年
二冊のロシア巡礼記
黒石、売り出す。
『俺の自叙伝』
周縁と下層
とうとう文壇追放
『露西亜文学史』
老子の肖像1
『血と霊』の映画化
差別と告白、そして虚無
幻想都市、長崎
混血と身体の周縁
峡谷への情熱
奇跡の復活『おらんださん』
戦時下の著作
戦後の零落
黒石の文学
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年、大阪箕面に生まれる。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。長らく明治学院大学教授として映画学を講じ、コロンビア大学、ボローニャ大学、清華大学、テルアヴィヴ大学、中央大学(ソウル)などで客員教授・客員研究員を歴任。現在は映画、文学、漫画、演劇、料理と、幅広い文化現象をめぐり著述に専念。学問的著作から身辺雑記をめぐるエッセイまでを執筆。『月島物語』で斎藤緑雨賞を、『映画史への招待』でサントリー学芸賞を、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞を、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞を、『詩の約束』で鮎川信夫賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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