出版社内容情報
近代最大の感染症、結核は「治療法のない死病」として恐れられてきた。思想統制から戦争に向かう厳しい時代のなかで、患者たちは何を思い、どんな言葉を残したのか。彼らの言葉から何を学ぶことができるのか。結核が国や文化や文学に与えた影響とともに、患者たち個人の療養環境を捉え直し、患者の営みの意味を考える。
内容説明
自己責任論、あふれるデマ、自宅療養…。おびただしい数の「病んでいない者たち」の言説に囲まれながら、患者たちはどのように生きたのか。膨大な資料の間にこぼれ落ちてきた彼ら自身の声を聴く。
目次
序章 患者って誰のこと?
第1章 病気になるのは誰のせい?―国家と結核
第2章 空気が変わるとき―文化と結核
第3章 患者は特別なひと?―文学と結核
第4章 病むわたしの日常を綴る―書くことと結核
第5章 確かな情報はどこに?―患者とメディア
第6章 「病いはわたしを鍛える」―患者と修養
第7章 発信する、つながる、笑う―患者交流欄のしくみとはたらき
終章 わたしたちのからだは誰のものか
著者等紹介
北川扶生子[キタガワフキコ]
1966年生まれ。神戸大学大学院文化学研究科単位取得退学、博士(文学)。神戸大学大学院文化学研究科助手、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)日本研究センター客員研究員、鳥取大学地域学部准教授を経て、天理大学文学部教授。専門は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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