出版社内容情報
法や規則として、あるいは暗黙の了解として、社会のなかで守ることを期待されるルール=〈風紀〉。宗教とのかかわりを軸に、その複雑でダイナミックな動態を読み解く。エジプト、イラン、ウズベキスタン、中国、フランス、ドイツ、サウジアラビア、アメリカ、日本、そしてイスラーム国まで、新たな領域を拓く共同研究
内容説明
社会においてなされるべきだと期待される「当為の法則」である風紀は、宗教的価値観と結びつきながら、あるときは明文化された規則として、あるときは暗黙のルールとして、社会と個人の内面に深く関わってきた。エジプト、イラン、ウズベキスタン、中国、フランス、ドイツ、サウジアラビア、アメリカ、日本、インドネシア、リトアニア、そして「イスラーム国」と呼ばれる異なる社会について、形成・維持・紊乱・再生という四段階から、その変容のプロセスを描き出す。
目次
なぜ、いま宗教と風紀か
第1部 風紀の形成(「イスラームのルール」はどうつくられるのか―ムスリム女性の装いをめぐる事例から;「よいスカーフ」と「悪いスカーフ」の攻防とその境界―現代ウズベキスタンのヴェール論争;アルコール排斥の多義性と風紀の形成―現代中国における回族の実践と国家による宗教管理;伝統主義の撤退戦―近代ドイツのユダヤ教正統派による性道徳矯正の試み)
第2部 風紀の維持(サウジアラビアにおける宗教警察の役割と変容―宗教による統治は何と対立するのか;現代イランの学校教育における宗教実践―イラン革命後の変化と現在;暴力の組織化と風紀の維持―移民・難民・排外主義を事例として;パワースポット・ブームと風紀―誰が神社を語るのか)
第3部 風紀の紊乱(旧ソ連・ウズベキスタンにおける「婚外の性」とイスラーム―男が語るモラル;経堂教育と新式教育―二〇世紀初頭の北京ムスリムの教育改革をめぐる議論と実践;飲酒、性交、殺人の仏教―近代日本の戒律論)
第4部 風紀の再生(「イスラーム国」の下での理想的生活;サウジアラビアの社会変革とジェンダー秩序―国家と宗教、SNS公共圏;現代アメリカにおけるユダヤ教の境界線―女性ラビをめぐって;「宗教と風紀」の「と」が意味すること)
「宗教と風紀」の「と」が意味すること
著者等紹介
高尾賢一郎[タカオケンイチロウ]
同志社大学大学院神学研究科博士後期課程単位取得満期退学(博士)。公益財団法人中東調査会、宗教学、現代イスラーム思想・社会史
後藤絵美[ゴトウエミ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。東京大学。イスラーム文化・思想
小柳敦史[コヤナギアツシ]
京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。北海学園大学。近代ドイツ宗教思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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