出版社内容情報
朝鮮戦争が勃発して四カ月、中国は「抗米援朝」を掲げて参戦した。国外で米国と戦う事態に中国の市民たちは何を思い、兵士たちはどう向き合ったのか。一九五〇年秋に焦点をあわせ、中国の様々な地域・職業・年齢の市民たちの感情や意見、行動を多くの資料から掘り起こす。中国社会における朝鮮戦争の経験を位置づけた画期的労作。
内容説明
朝鮮戦争が勃発して四カ月、中国は「抗米援朝」を掲げて参戦に踏み切った。国外で米国と戦う事態に、中国の市民たちは何を思い、兵士たちはどう向き合ったのか。一九五〇年秋に焦点をあわせ、中国の様々な地域・職業・年齢の市民たちの感情や意見、行動を多くの資料から掘り起こす。戦争に直面せざるを得なかった人びとの「声なき声」を探り、中国社会における朝鮮戦争の経験を位置づけた画期的労作。
目次
第1章 関与か放置か―黒雲の下で
第2章 「知識分子」―海外派兵・原爆・同盟・租税
第3章 商工業者―天津・上海・香港
第4章 労働者、農家―海外派兵・後方支援・政権交代
第5章 将兵―対米感情・復員・良心的兵役拒否
第6章 徐光耀の戦争―職業観・死生観
第7章 戦局の転換―姿勢変更・経済制裁・従軍
著者等紹介
陳肇斌[チェンザオビン]
1963年中国に生まれる。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現在、東京都立大学法学部教授。専攻は日本政治外交史・東アジア政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
1950年、朝鮮戦争に参戦した中国。参戦に至る中国指導部の政策決定に関してはこれまでかなりの研究が積み重ねられてきたが、本書は当時の中国市民を主役にして、参戦における多様な「声」を拾い集めた点が特色。アメリカに対しては反米、恐米、親米と様々な感情が見られる。派兵をしないソ連に対する不満の声はさすがに多い。第三次大戦、核の脅威、アメリカと蒋介石の大陸反攻など、時期的にもこれらを現実に身近なものとして捉えている様子が感じられる。当時の中国社会の一端が鮮やかに映し出された貴重な書。2021/09/15