出版社内容情報
対話形式を交えた臨場感あふれる講義スタイルで,確率の考え方と主な解釈を平易に解説する確率の哲学入門.
内容説明
日常生活や諸科学との関連を示しながら概念の意味と主要な解釈を平易に解説する。
目次
1 確率―二面的な生活の手引き?
2 古典的解釈
3 論理的解釈
4 主観的解釈
5 客観的ベイズ主義
6 集団レベルの解釈
7 頻度説
8 傾向性解釈
9 誤謬、パズル、パラドックス
10 人文学、自然科学、社会科学における確率
著者等紹介
ロウボトム,ダレル・P.[ロウボトム,ダレルP.] [Rowbottom,Darrell Patrick]
1975年生。ダーラム大学PhD、DLitt。現在、嶺南大学(Lingnan University香港)哲学科教授。科学哲学、認識論、確率の哲学
佐竹佑介[サタケユウスケ]
1989年生。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻博士課程。哲学
一ノ瀬正樹[イチノセマサキ]
1957年生。東京大学大学院人文社会系研究科教授を経て、東京大学名誉教授、オックスフォード大学名誉フェロウ、武蔵野大学教授。哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
11
「客観的な確率というものが存在する(そしてそれを観測頻度から類推することができる)」という信念に基づいた世界ベースの確率解釈がバッサリ斬られてて面白かった。。(^^;) > "頻度説は,哲学以外一例えば統計学一ではいまだに人気があるが, 積極的な研究はなされていない"2022/04/24
shin_ash
8
確率は因果性への理解を深める上でも避けて通れないと考えたので読んで見た。因果性では確率上昇説と介入説で確率が所与の概念として登場するが、確率そのものを論じる上では全く自明なものでもなんでもなく、哲学的に大いなる問いであることを思い知った。統計学界隈ではベイズの解釈に関して、今でも時折論争になるが、しかしこれも、必ずしも一元論的結論が妥当とは限らないことがわかった。何より、因果と確率の関係そのものが現在でも哲学的問いであるようだ。ならば実務では確率で何を表現しているのか改めて意識していく必要があろう。2020/02/22
Schuhschnabel
5
統計学を勉強する中で、相対頻度を無批判に確率として扱っていることに違和感をもったので読んでみた。高校数学の確率の知識はなくても読むことは可能だが、確率の哲学だけあって、ところどころじっくり考えないと理解できない箇所もある。確率についてのいくつかの解釈とそれに対する批判が、(すごく優秀な)学生との対話形式で展開されている。個人的には、間主観的確率によって説明できる事象は結構多いのではないかと考えている。2019/09/11
すずき
3
よくまとまっているが全部スラスラ理解できるほどではなかった。情報ベースと世界ベースの大きく2つに分けるところはわかりやすいがそれぞれの内部の細かい別れ方はちょっと追い切れる自信はない。いい入門書だとは思う。2021/03/09
愛楊
2
D. Rowbottom, "Probablity", 2015, Polity Press の全訳。主観説から客観的ベイズ主義、誤謬・パラドクス、長期的傾向性説、諸科学での確率概念の利用まで広く解説されている優れた概説書である。確率の哲学はSEPにおいて "Interpretation of probability" として立項されている。相対頻度説はそれらを生み出すもの自体ではないため、確率とは長期的傾向性であるという説が取られる。これは大数の法則に従って無限回の観測が得られた場合に対応するだろう。2024/10/08