出版社内容情報
「道徳」の教科化が始まっている。戦前の皇民化教育の反省に立ち、民主的な教育へと転換したはずの日本だが、実は、戦後直後から「愛国心」教育復活の動きが続いてきた。その歴史的経緯を解き明かし、教育現場のゆくえを問う。
内容説明
戦前の皇民化教育の反省に立ち、戦後、「教育勅語」と「修身」を廃止して民主的な教育制度へと転換したはずの日本。だが実際には、戦後以降、「愛国心」教育を復活させようとする動きが続き、そしていま、「道徳」の教科化が開始されている。その歴史的経緯を丹念に解き明かし、今後の教育現場はどうあるべきかを鋭く問う。
目次
第1章 道徳の教科化とは何か
第2章 戦前の道徳教育を見る―修身と愛国心の評価
第3章 戦前の道徳教育は反省されたのか―戦後教育改革の「抜け道」
第4章 復活した国定の道徳教育―一九五八年「道徳の時間」特設
第5章 国定による道徳教育はなぜ問題か―批判と反対の声
第6章 愛国心教育の制度的漸進
第7章 安倍政権下の二四教育法と道徳教育
終章 「道徳」の教科化にどう向き合うか
著者等紹介
大森直樹[オオモリナオキ]
1965年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京学芸大学教育実践研究支援センター准教授。専攻は、教育学、教育史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
22
道徳教育の戦後史に関する研究書。旧教育基本法の「人格の完成」という概念の中に教育勅語との内容の連続性を見いだそうとする政治の力学を読み解いている。教育勅語の再評価は、吉田茂首相が施政方針演説において「道義の高揚」を説いたように、終戦からわずか3〜4年で政権サイドから強調されるようになる。本書は、旧教育基本法が教育目標を「人格の完成」に規定したところに愛国心教育の火種があったと分析している。さらに近年の愛国心教育の拡充は「弛緩した官僚主義によって惰性的に行われている」(309頁)と手厳しい。勉強になる。2022/02/01
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
4
2018年 9月21日 初版 2024/11/02