出版社内容情報
躍動する東京、行き当たりばったりの毎日。三島、安部、大江――誰もが若く、輝いていた日々。50-60年代という日本文学がもっとも可能性に満ちていた時代の最良の同時代史、そして80-90年代の日米文化交渉の生きた証言。
内容説明
戦後文壇がその絶頂期を迎えていた1960年代、ニッポン。著者は最も才能ある作家たちと親しく交わり、三島由紀夫、大江健三郎ら時代の寵児たちが生み出す作品を翻訳、世界にその作品世界を知らしめていく。翻訳家、映画監督としてマルチな才能を武器に日本中を駆け回ったジョン・ネイスンよる日本文学の黄金時代、そして日米文化交渉の生きた証言録。
目次
もし音楽が恋の糧なら…
まゆみ
三島由紀夫
大江健三郎
人情劇こもごも
アメリカに帰る
サマー・ソルジャー
フルムーン・ランチ
破綻
ユダヤ人に囲まれて
金まみれの日々
ストックホルム
いつかきた道
日本との距離
エピローグ 漱石に導かれて
著者等紹介
ネイスン,ジョン[ネイスン,ジョン] [Nathan,John]
1940年生まれ。作家、翻訳家、映画監督、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授
前沢浩子[マエザワヒロコ]
1961年生まれ。津田塾大学卒業、同大学院修了。獨協大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
47
才能豊かで散漫で目まぐるしき半生よ。綺羅、星の如し交友録も生涯続く友情には至らぬ為か人物描写は一部を除きシニカル。一角の者になりたいという筆者の焦燥感は終始息苦しい程で、それ故に予期していなかった美しい幕切れに感銘を受けた。歳を取ったと言えばそれまでだが最後の最後で好人物に映る。先週末不意に訪れた朝倉文夫邸に纏わる記述があり嬉しい驚き。2018/07/11
deerglove
5
水村美苗さんの推薦文の通り、なんと盛り沢山な人生か、とため息をつくやらあきれるやら。ハーバードと東大で学び、三島由紀夫、安部公房、大江健三郎の友人で、日本の古典や文楽・落語にも詳しく、ドキュメンタリー映画で割烹料理屋や東北の農家だけでなく、勝新太郎の素顔を取り上げるかと思えば、米国に戻ってマイケル・ポーターの企業戦略ビデオをつくって大儲け。さらには大江健三郎のノーベル賞受賞式にも同席していて、私生活でも日本人とアメリカ人?の奥さんにそれぞれの子供もいるとくれば、いったい何人分の人生かと眩暈がする(笑)。2018/03/27
渓流
1
日本人との邂逅の方がタイトルとしてはぴったり2018/08/15
ラム
0
ジョン・ネイスンには三島の伝記を読み耽った記憶 三章からが本題、日本の作家との交遊や翻訳の内幕話 三島の「午後の曳航」の英訳タイトル決定までのやり取りは興味深い 絶大な信頼とあっけない崩壊 大江とも同様 旺盛な好奇心と常に向上を求める焦燥が折角の頭脳、才能を無駄に浪費した半生に思える そして、著者を長年駆り立てていた日本の一員になりたいという情熱も色あせ去って行く エピローグでは7年後漱石の「明暗」に導かれ再び日本との繋がりを感じるようになり英訳に取組むところで終わる(改めて水村美苗の存在感に圧倒される)2021/05/09
mn
0
この本を手にとった時には予想もしていなかった面白さにびっくり2021/07/07