源氏物語再考―長編化の方法と物語の深化

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  • サイズ A5判/ページ数 428p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000612067
  • NDC分類 913.36
  • Cコード C3091

出版社内容情報

なぜ源氏物語は、それまでの物語のあり方を一変させるような、長編化という達成を遂げることができたのか。小さな物語が大きな物語へと成長していった痕跡をたどることで、物語長編化の内なる動因を解き明かす。

内容説明

当初は格段に小さい物語だったはずの源氏物語は、いかにして長編化を成し遂げることができたのか。小さな物語は、人びとの多彩な要望に応じて書き継がれながらも、可能な限りの整合を保ちつつ、大きな物語へと成長していく。その過程の痕跡をつぶさにたどることで、物語長編化の内なる動因を解き明かす。

目次

1 物語の長編化の方法(源氏物語の構成原理―物語の非一元性;物語の縦軸と横軸―類聚化の諸相;系図の変容―桐壺院の皇子たちと朱雀朝の後宮;原型からの成長―長編化と時間意識)
2 人物像の成熟と物語の深化(光源氏の秘事―負荷される苦悩と物語の深化;源氏物語のからくり―反復と遡上による長編化の力学;三つの予言―変容する構造;薫出生の秘事―匂宮三帖から宇治十帖へ)
3 物語歌の機能と表現(作中和歌は誰のものか―花散離・朝顔・六条御息所の場合;伝達と誤読の機能―虚構の贈答歌;儀礼の歌における私情―朱雀院と秋好中宮の贈答歌;『古今六帖』による規範化―発想の源泉としての歌集)
4 物語の言葉と思考(「みやび」の周縁化―言語化の回避;「飽かず」の力―物語展開の動因;第二部における出家と宿世―仏教的価値観による照射;古代語の「身」―「身にあまる思ひ」)
5 物語の構築方法(虚構の人物の創造―相対的形象、准拠の利用、詳細化;場面形象の模索―型からの逸脱と語りの方法;慣用表現の利用―物語を拓く引歌・引詩;仮名日記文学における物語性―真実と虚構の相克)

著者等紹介

高木和子[タカギカズコ]
1964年生まれ。1988年東京大学文学部卒業。1998年東京大学大学院人文社会系研究科日本語日本文学専門分野博士課程修了、博士(文学)。1998年より関西学院大学文学部専任講師、准教授、教授を経て、2013年より東京大学大学院人文社会系研究科准教授、現在同教授。主な著書に、『源氏物語の思考』(風間書房、2002年、第5回紫式部学術賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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