出版社内容情報
数字の名前をもつ老若男女が次々と死の影にとらわれる表題作「世事は煙の如し」など、暴力と狂気と不条理に彩られた魯迅×カフカな七つの物語。
内容説明
一人旅をする少年が理不尽な暴力に晒される出世作「十八歳の旅立ち」から、現代版「狂人日記」「阿Q正伝」を思わせる「四月三日の事件」「名前のない男」、数字で名づけられた老若男女が次々と死の影にとらわれる表題作「世事は煙の如し」まで、現代中国文学を牽引する作家による、暴力と狂気と不条理に彩られた魯迅×カフカな六つの物語。
著者等紹介
余華[ユイホア]
1960年中国浙江省杭州生まれ。幼少期に文化大革命を経験。78年に海塩県の衛生院に歯科医として就職後、文学創作を始める。84年から海塩県文化センター、89年からは嘉興市文聯に転属。88年から90年にかけて魯迅文学院と北京師範大学共催の創作研究生班に学び、天安門事件に遭遇する。92年以降は北京に定住。80年代中頃から実験的手法による「先鋒派」作家の一人として注目を浴び、中短篇集をいくつか発表したのち、91年『雨に呼ぶ声』で長篇デビュー
飯塚容[イイズカユトリ]
1954年生まれ。東京都立大学大学院修了。中央大学文学部教授。専門は中国近現代文学および演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
33
カフカ的な不条理小説家なんですね、余華という作家は。読んでるうちに、安部公房を思い出してしまいました。解説によると、映画にもなった「活きる」は彼の中では珍しくわかりやすい作品だそうです。そんな作品を期待して読んだので肩透かしをくらった感じ。2017/08/27
ののまる
9
『兄弟』とか時事問題系のエッセイを読んでいたから、だいぶ印象が違ったな〜2018/03/22
春ドーナツ
8
長期計画「アジア文学への道」の途上で、ついに現代中国の小説を読む。80年代中頃から台頭した「先鋒派」による作品なので、ミニシアターで前衛映画を観ているような読後感であった。リディア・デイヴィス氏の風合いも思い出す。ローカル色が薄く淡々として不条理に満ちている。ユン・チアン女史の「ワイルド・スワン」を読んで「文革」の壮絶さを忘れることができないでいるが、作者は幼少時に「文革」の洗礼を受けていた。氏の作品にあふれる虚無はそこから端を発しているのでは、というのは穿(うが)ち過ぎか。2017/12/13
hirayama46
6
はじめての余華。理不尽な暴力性が特徴の短編集。登場人物が数字で記された表題作はメモを取りながら読んだほうが良かったかもしれません。こんがらがってしまいました……。どうにもやるせない読後感が素敵な「名前のない男」がお気に入り。2019/04/30
ほし
1
タイトルの編は何が何やらちんぷんかんぷん。2023/04/30