出版社内容情報
富山市議会で、数の力をバックに自らの議員報酬を増額するお手盛り条例案が可決された。それに疑問を感じた地方局の記者たちが、さまざまな圧力と闘いながら膨大な資料を分析、政務活動費の不正を暴き、ついに議員たちをドミノ辞職へと追い込んでいく。全国に波及した白紙領収書問題の大スクープはいかにして生まれたのか。迫真のルポ。
内容説明
富山市議会で、数の力をバックに自らの議員報酬を増額するお手盛り条例案が可決された。それに疑問を感じた地方局の記者たちが、さまざまな圧力と闘いながら膨大な資料を分析、政務活動費の不正を暴き、ついに議員たちをドミノ辞職へと追い込んでいく。全国に波及した白紙領収証問題の大スクープはいかにして生まれたのか。迫真のルポ。一連の報道で2017年度日本記者クラブ賞特別賞受賞!
目次
第1章 議員報酬
第2章 ドンの不正を暴く
第3章 Xデー
第4章 辞職ドミノ
第5章 情報漏洩
第6章 その後の議会
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
75
この作品を映像化したドキュメンタリー「はりぼて」を見たときは、怒りを通り越して喜劇のような振る舞いに笑ってしまいました。是非はともかく、取材の在り方もこれでいいのかと考える面もありました。活字版は、ストレートにこの取材の記録へエールを送る気持ちになりました。この事件は、富山市議だけの問題ではなく、日本の政治の縮図なのだと思います。2021/01/16
Willie the Wildcat
53
金欲、名誉欲など、各種”欲”を掻き立てる悪しき慣習と世襲。政治活動費用や組織間の独立性の欠落も悪循環。倫理観はもとより、論理性も欠落した幼稚な言動には呆れるばかり。疑惑追及、釈明、事実判明、そして辞職。加えて、自浄作用が全く機能せず、情報公開制度に頼らなければならない現実。補選投票率27%は、政治不信の証。政治家諸氏にとっては喉元過ぎれば・・・と推察。私企業と同様、政治の世界も定期監査を義務付け、”Public”故に結果も公開させる。心にやましいことがなければ、断る理由もない。単なる”健康診断”!2017/10/17
壱萬参仟縁
50
皆で議事録を読み込むと、10万円派の根拠はますます弱く思えた。1回目の審議では結論が出ず、引き上げ額の議論は2回目の審議に持ち越された。除雪作業は議員の活動と言えるのか? 報酬引き上げの根拠と呼べるのか? 甚だ疑問(15-16頁)。政治に関心のない人たちでも、何かしら身の周りの制度や仕組みに不満や不安は持っている。地方政治は、有効に機能しているのだろうか。政治と有権者の関係は、今のままで適正だと言えるのだろうか(51頁)。2017/11/26
おさむ
42
富山の民放、チューリップテレビの調査報道の記録だ。槍玉に上げられたのは、富山市議達の政務活動費の不正使用。情報公開制度を駆使して地道な作業を積み重ねて、次から次へと不正を暴いていく。この過程を描いたドキュメンタリー映画「はりぼて」を観たら秀逸だったので、本著も読んでみた次第。地方の政治なんて野党も野党も同じ穴のムジナ。どこもこんなもんなのかなあ‥‥。解説にもあるが、市議達は嘘まみれでどーしようもない奴らだけれど、「まだ良心が残っていた」から、最後の最後は真実を語った。それがせめてもの救い。2020/09/30
おかむら
39
富山ローカルTV局の調査報道ノンフ。コレすごく面白い。オススメ! 市議会のドン(自民会派)を弱小テレビ局の記者が追い詰める。情報公開制度を使い政務活動費の領収書等を請求するんだけど、1年分でコピー代が15万円。びびる記者たち。お金も人員も限られたローカル局がそれでも奮闘。ついに不正の証拠を掴みスクープを放つ。やったね! すると次々と他の議員にも不正が発覚。ドミノ辞職が止まらない。ドミノっぷりはコメディのよう。あー楽しい! 今年「はりぼて」というタイトルでドキュメンタリー映画になったそう。観たいわー!2020/12/21
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