出版社内容情報
思想的源流、運動の広がり、人種主義、ジェンダーなど、ファシズムの主要論点を解きほぐす絶好の入門書。
内容説明
複雑な事象をゼロから学ぶ!保守反動か、革新か。資本主義か、反資本主義か―現代史に破滅的影響を与えたファシズムとは何だったのか。そしてそれは今また、よみがえろうとしているのだろうか。思想的源流、イタリア・ドイツにとどまらない運動のトランスナショナル性、人種主義、ジェンダーなど、ファシズムの主要論点を解きほぐす最新の入門書。
目次
第1章 「AであるとともにAではない」―ファシズムとはなにか
第2章 ファシズム以前のファシズム?
第3章 「拳で歴史をつくる」イタリア
第4章 「人種国家」ドイツ
第5章 各地に広がるファシズム
第6章 灰から飛び立つ不死鳥か
第7章 ファシズム、ネイション、そして人種
第8章 ファシズム、女性、そしてジェンダー
第9章 ファシズムと階級
第10章 ファシズムとわれわれ
著者等紹介
パスモア,ケヴィン[パスモア,ケヴィン] [Passmore,Kevin]
カーディフ大学教授。フランス現代史、ファシズム、歴史理論
福井憲彦[フクイノリヒコ]
1946年生まれ。学習院大学教授。フランス近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
22
大学出版社の出す入門書シリーズの一冊だったことに驚く。とてもレベルが高い。既存の研究からは漏れがちだったファシズムとフェニミズムの関係等にも焦点を当てている。ファシズム研究と言えば日本ではドイツ、イタリアと日本が中心だが、本書では前者2国に加えて他のヨーロッパ各国やアメリカ大陸でのファシズム運動、19世紀から現代まで幅広い射程を有している。結論はファシズムの定義に拘るよりも現代に蠢く数多の運動とその影響や背景に対して注視し、場合によっては対応しようというものだ。2016/07/03
さえきかずひこ
9
ファシズムの定義をするのではなく、ファシズムという語がどのように用いられてきたかという観点に立ち、19世紀末から現代に至るまでのファシズム〜極右のあり方を追う一冊。ヨーロッパの事例が多く、とくにイタリア・ファシズムについて詳しいが、ルーマニア、ハンガリー、スペイン、そしてナチズムについても詳述されているので、20世紀の歴史をファシズムを通して概観できる。ファシズムと女性の関係を描く第8章はとくに印象的で今日的な研究であるように思えた。2017/06/27
なっぢ@断捨離実行中
6
定義が曖昧なまま濫用されているきらいのあるファシズム入門の決定書?政治学者が書いたものらしくエーコの『永遠のファシズム』を「文学的過ぎる」とバッサリ切り捨て、ドイツとイタリアの二国を中心とした欧州各国のファシズム史を十九世紀から現代にかけて丁寧に論じていくものの、やはりファシズムという政治思想(というよりは現象?)は掴みにくいものらしい。評者にはファシズムが近代のメインカルチャー(自由主義、民主主義などの)に対するサブ(カウンター)カルチャーのように見えて仕方がない。ナチス史観なんて完全にムー的だし。2016/07/20
ぽてと
5
右も左もファシズムを批判するためのレッテル張りに使用するが、実際それは何を意味しているのかといえば、ほとんど誰も理解していないかもしれない。しかし実のところ、オルテガも言うとおり、AであるとともにAでないという矛盾を併せ持つファシズムの諸運動を定義することは不可能である。本書では、ファシズムという言葉の定義を放棄し、イタリア・ドイツを中心にファシズムと指摘される各勢力の特徴と類似点、相違点を抜き出していく。ジェンティーレの定義くらい触れておいていい気がするが、いい本であるとは思う。2016/07/21
R
3
ファシズムは厳格な定義を採用しにくい。これがファシズムだよと分かりやすく教えてもらおうと思ったが,そう甘くない。イタリアやドイツ,またほかの地域での例証を参考になんとなく掴んでいかなければならなかった。その中で重要だと思ったのが,①国家利益優先主義,②外国人排斥主義,③個人の自由や権利の軽視または否定,④特定の組織または個人による独裁,である。まだまだ勉強継続。2017/12/07
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