内容説明
現代の行政が、規制基準の国際調和化、技術情報の分散化、官民関係の多元化といった現象に直面するなか、規制行政機関はどのように自らの裁量を確保しようとしているか。それにより、官と民とが相互に作用・依存し合う規制空間の構造はどのように変容しているか。木造建築、軽自動車、電気用品の安全基準設定の事例研究を通じて明らかにする。
目次
1 理論編(はじめに―本研究が注目する現象、検討課題;事例分析の枠組みと論点整理―「規制空間」をどう捉えて分析するか)
2 事例編(事例研究を進めるに当たって―事例選択と方法論上の問題;木造建築規制―「木造三階建て共同住宅」をめぐる内圧と外圧;自動車安全規制―衝突安全基準の設定・運用の体制;電気用品安全・障害規制―法規制と自主規制の関係)
3 分析編(規制空間の構造変容と官僚制)
おわりに―本研究のまとめ・結論、今後の課題
著者等紹介
村上裕一[ムラカミユウイチ]
1981年愛媛県松山市生まれ。東京大学法学部(公法コース)卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了(博士(法学))。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD)、東京大学特任講師(大学院公共政策学連携研究部)等を経て、北海道大学准教授(大学院公共政策学連携研究部・法学部)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中将(予備役)
1
急ぎざっと読んだ。規制の在り方の変容・業界や外圧、世間の関心など様々な方面の綱引きが感じられた。行政裁量や専門性は行政法行政学両方の観点から興味のあは事柄なので、今度もっと精読したい。事例編は簡潔な資料となり得るし、理論編分析編は深く読み込むべし。全般に今後も注目すべき論点。2022/12/01
Kenji Suzuya
1
技術面での規制行政に着目し、その専門性や裁量のあり方について、木造建築、自動車、電気用品の3分野を事例として、比較分析する。官民の協働関係を前提としながらも、基準の設定のやり方に応じて、行政と業界との間で裁量の分布が異なってくることを示している。2018/07/08
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