内容説明
史上初の画期的裁判か、筋書き通りの「勝者の裁き」か。先行する第一次大戦後のライプツィヒ戦犯裁判から戦後ドイツにおける受容のあり方までを辿り、未曽有の戦犯裁判の全体像に迫る。
目次
第1章 忘れられた戦犯裁判
第2章 ニュルンベルク国際軍事裁判への道
第3章 裁かれた戦争犯罪―ニュルンベルク国際軍事裁判の展開
第4章 もう一つのニュルンベルク裁判―ニュルンベルク継続裁判
第5章 IMTと継続裁判の法理問題をめぐる追加考察と両裁判の比較
第6章 ニュルンベルク裁判以後のナチ犯罪裁判
第7章 西ドイツにおけるニュルンベルク判決の受容
著者等紹介
芝健介[シバケンスケ]
1947年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程(国際関係論)修了。東京女子大学現代教養学部教授。ヨーロッパ近現代史(ドイツ現代史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紙狸
18
2015年刊行。ニュルンベルク原則と呼ばれる原則がある。国際法に違う犯罪は国家によってではなく個人によって犯される。兵士が残虐行為を行った場合、命令に従ったということは免責理由にならない。こうした原則は、第一次大戦の戦争犯罪を(戦勝国の圧力の下)裁いたドイツの裁判ですでに確認される。ニュルンベルクから過去に遡る議論だ。ニュルンベルクから現代への架橋もする。1993年に国連安保理が設置した旧ユーゴ国際刑事法廷は、ニュルンベルクの伝統の伝統に連なると明確に述べていた。法を遡及して適用したという意味だろう。2024/12/30