出版社内容情報
意識と脳の関係性の謎に立ち向かうお膳立ては整いつつある! これまでの研究における発展と限界、トノーニによって提唱されて意識の理論として有望視されている統合情報理論、そして著者が取り組んでいるクオリア(意識の中身)を特徴づける研究アプローチを解説。意識研究の面白さ、研究者が抱いている興奮を伝える。
内容説明
意識と脳の関係性の謎に立ち向かうお膳立ては整いつつある!これまでの研究における発展と限界、トノーニによって提唱されて意識の理論として有望視されている統合情報理論、そして著者が取り組んでいるクオリア(意識の中身)を特徴づける研究アプローチを解説。意識研究の面白さ、研究者が抱いている興奮を伝える。
目次
1章 意識って科学の対象なの?クオリアって何?
2章 意識はどうすれば研究できるのか?
3章 目から脳へ、脳から視覚意識へ
4章 意識の変化に合わせて変わる脳活動
5章 意識と注意
6章 意識の統合情報理論
7章 意識研究の最前線
著者等紹介
土谷尚嗣[ツチヤナオツグ]
2000年、京都大学理学部卒業。2005年、カリフォルニア工科大学「計算と神経システム」PhDプログラム修了(指導教官:クリストフ・コッホ)。2006年、PhD取得。現在、オーストラリア・モナシュ大学心理科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
54
著者が、甘くないぞと念を押しているのに、恐ろしく難問でありながらも、読み終わると「解決への見通しがありそうだ」という感じがしてしまう。まず2~3個のニューロンの状態を考える例からイメージさせるが、実際の脳は860億の細胞があるらしい。解決までの道はまだ遠いのか? しかし私の見る青のクオリアの正体は不明でも、私とあなたの青が同じかどうかの判断への道があるとは、着実に科学が進歩していることを示している。取りつく島はあるのだ。〈私〉という謎への哲学がサイエンスの言葉で語れる日は、意外に近未来なのかもしれない。2022/01/05
禿童子
34
クリストフ・コッホの直弟子であり、コッホ著『意識をめぐる冒険』の翻訳者である土谷氏がオーストラリアのモナシュ大学で行っている講義をまとめた本。トノーニの提唱する統合情報理論を分かりやすく解説している。「意識」の起源や定義などの錯綜する論点を回避して、意識=クオリアの構造と関係性を明らかにすることによって脳と意識がどのようにつながるかを探求するという方法論。被験者の言語による報告に頼らなくてもよいのは技術の進歩。日本でクオリアの名前を広めた茂木健一郎についてひとことも言及されていないのは何を意味するのか?2022/07/07
にしがき
13
👍👍👍 意識研究の先端に触れることができた(気がする)。意識の研究は臨床しかないのかと思っていたが、著者が研究する統合情報理論は、意識の境界・量・質を数学的に説明することを目指した理論。その説明は慣れていない自分には理解が難しいところもあったが、数学的に意識を定義して解明していこうというアプローチは刺激的だった。今後、どんどん新しいことが分かっていく分野らしい。楽しみ。2024/02/25
kenitirokikuti
7
図書館にて。心理学の新しめの知識は既に学んでいたため、そして、Meta Questで6軸のVR映像を見ていたため、本書の提示するものは割と良くつかめた(ような気がする)。統合(インテグレイテッド)情報理論については、提唱者による一般向け解説本(『意識はいつ生まれるのか』)があるので改めてそちらを読もうと思う▲クオリアを計測・比較するアイディアには、あーなるほど(将棋AIの3駒関係評価値みたいなの)。しかし、それも細かい実験結果の蓄積があってこそのものだなぁ2022/08/04
kamekichi29
6
意識の研究の最前線の概説でした。意識がどこからくるか、生まれるかなどはまだまだわかっていないことが多いようですね。 意識を数値化したりして測定できるようになる統合情報理論?とか研究に使えるツールがいろいろ考えられているみたいです。2024/07/19
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