出版社内容情報
ぼんやりしている時に脳はなぜ活発に活動するのか? 脳ではいくつものネットワークが状況に応じて切り替わりながら活動している。ぼんやりしている時、ネットワークが再構成され、ひらめきが生まれる。脳の流儀で学べ!
内容説明
脳では様々なネットワークが常に切り替わりながら活動している。何もしていない時にも、脳は活発に活動する。その活動は、脳全体を統合し、記憶や想像、自己の認識や他者の認知にも関係する。ぼんやりしている時に脳のネットワークは再構成され、そこに新たな気づきやひらめきが生まれる。より良い学び方を脳に学ぶ。
目次
序 脳は安静時にも活動している―五つの脳活動ネットワーク
1 感覚と運動でつくられる学びの基礎―身体脳
2 習慣的な判断は記憶が生み出す―記憶脳
3 考えなおすことを学ぶ―認知脳
4 他人の視点を学ぶ―社会脳
5 創造的な学びをどう学ぶか
著者等紹介
虫明元[ムシアケハジメ]
1958年生まれ。東北大学医学部大学院卒業、医学博士。東北大学医学部第二生理学講座助手、東北大学大学院医学系研究科生体システム生理学分野助教授を経て、同教授。専門は、脳神経科学。大学での脳科学に関する専門教育以外に、高校での出前講義や一般向けのサイエンスカフェなどの教育活動を積極的に行っている。即興再現劇を用いたコミュニケーションワークショップを行い、学部横断的かつ学生主導的な学びの開発に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソーニャ
19
脳・学習に関する本は好きなので読んだ。人の学習・創造時の脳の働きを書いた本。言語の習得の話でこちらの反応に相手が応答してくれる相互的なやり取りが重要で、映像による一方的な学習では不十分だったとあった。自分の感覚でも学習一般でそんな印象はあるが、オンライン英会話なんかはどうなんだろう。一応相互的だけどリアルと比べるとやっぱり情報量は少ない印象がある。あとノーベル賞受賞科学者は一般の科学者に比べてアート系趣味を持つ人が何倍もいるというのは驚き。傾向の話だけどやはり創造に発散思考は大事なんだろうと思わされる。2021/03/30
よう
9
いいことたくさん書いてあったような気がするが、ぼんやり読んでしまった。2024/04/20
色々甚平
9
よく集中力は何分しかもたないという話を聞くが、むしろ学習のためにぼんやりする(間を置く)時間が必要だった。それを非認知スキルという。マルチタスクも学習には向かず、目的があるなら絞りつつ、程よく休んだほうがよい。脳にはネットワークが張られていて、それぞれの役割を担っている。それが一つの行動に対して一斉に動いているのだから疲れるのもわかる。創造性の基礎は非認知スキルであり、そのスキル取得ができれば、多様な見方や判断、理解ができる人になれるのだろう。2020/03/24
shin_ash
6
100pそこそこの本だが、2018年時点の脳の働きについて簡素に分かりやすくまとめている。ダニエル・カーネマンのシステム1、システム2とも整合性のある解説で更に発展させたイメージ。論点は基本系ネットワークと呼ばれるぼんやりしていたり、発散的な思考の時に働くネットワークの重要性で、論理的に考える時に働く執行系ネットワークと交互に働く点だ。また、基本系ネットワークは他の4つのネットワークのハブになっている様でこれも重要な点の様だ。脳をこれらの5つのネットワークに分けた上で、脳の働きを4つの機能別の働きに分けて2021/10/16
彩
6
ぼんやりしているときにも脳は活発に働いている。睡眠中も脳は働き続けているらしい。 詳しい脳の話って、自分のこの頭のことなのに、あまりにも複雑だから自分のことのように感じられない。 有名だが、幼児期の養育者のアタッチメント、皮膚感覚の有無が、その後の性格特性に深く関わっていることは改めて興味深い。 性格は5因子で分析しても、多様性は計り知れないもので断定することはできず、生涯変化しうるものだと知っておけば、状況に応じて多様な生き方ができるという強みに繋がると学んだ。息詰まったときの発想の転換に役立ちそう。2020/06/29