出版社内容情報
日常生活に欠かせない脳がつじつまを合わせたがる特性。まさかと思う人も、もっと脳を深く知りたくなる本。
内容説明
作り物とわかっているのに自分の手と思い込む。目の前にあるのに見落としてしまう。これらはいずれも脳のつじつま合わせが引き起こす現象。顔と声が別人の映画の吹き替えに違和感を覚えないのも同じ。われわれが安心して日常を過ごせるのも、こうした脳の特性のおかげなのだ。まさかと思う人も、もっと脳を深く知りたくなる本。
目次
第1章 つじつま合わせの達人(つじつま合わせ;五感と脳 ほか)
第2章 感覚を融合したつじつま合わせ(マガーク効果;腹話術効果 ほか)
第3章 見落として当たり前(選択の見落とし;変化の見落とし ほか)
第4章 形や色の好ましさ(典型的見え;好ましさと安定性 ほか)
終章 つじつまを合わせたがる脳との付き合い方(拡張される身体“ラバーハンド錯覚”;雑音への耐性“マガーク効果と腹話術効果” ほか)
著者等紹介
横澤一彦[ヨコサワカズヒコ]
1956年生まれ。1981年東京工業大学大学院総合理工学研究科(電子システム専攻)修士課程修了。工学博士。NTT基礎研究所主幹研究員を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。日本認知科学会会長、カリフォルニア大学バークレイ校客員研究員などを歴任。専門は認知心理学/認知科学。理系出身の心理学者の草分け(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
276
著者の専攻は認知心理学。脳の不思議を様々な実験を通して見せてくれる。そうだったのか。脳は「つじつま合わせの達人」だったのか。ラバーハンド錯覚も不思議だし、マガーク効果も、見落としも、すべて言われてみて初めてそうだったのかと思うことばかり。そうしてみると、脳の働きは信用できないことだらけ。あるいは、そうだからこそ脳は統体として認知しているのかもしれない。「色嗜好」の項目も面白い。しかし、そうだとするとこうした脳の認知の偏向を商業的に誘導することもできそうだ。いや、もうとっくにしているかも。2023/09/29
ホークス
46
2017年刊。脳によるつじつま合わせを様々な実験で説明する。例えばラバーハンド錯覚。片腕を衝立で隠し、目の前にダミーの腕を置く。実物とダミーを同時に刺激するとダミーを本物の腕だと感じ始める。視覚と触覚のつじつま合わせだ。自分の後姿をHMDで見る幽体離脱体験や、失った腕などを感じる幻肢も同じ原理。視覚と聴覚の例には、ガと言う映像にバの音を重ねるとダに聞こえるマガーク効果、音の位置が視覚に引っ張られる腹話術効果がある。適当に無視したり解釈を変えたりするつじつま合わせは、実はすごい能力らしい。実験がやたら面白い2021/10/25
hnzwd
16
腹話術を見た時、声が人形の口から出てるように感じるのは、脳がつじつまを合わせたがるからだ。という、脳の知覚の不思議解説本。音は間違いやすそうな気はするけど、見た目とか色でもやらかすのは結構驚き。2023/12/10
calaf
10
雑音ある現実世界を生き抜くための人間の脳の柔軟性。これを一言で表すのが、タイトルの「つじつまを合わせたがる脳」だという事かな?なるほどねぇ...幽体離脱もこうやって現実に実現することが可能なのですねぇ...2017/05/27
とりぞう
5
「他人が触るとくすぐったいのに、自分で触ってもくすぐったくないのは、他者からの触覚刺激は危険を伴うことがある一方、自己による触覚刺激では危険性も低いため、その刺激が抑制されるためと説明されている」なんて話など。2018/06/28
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