内容説明
鶴亀算、植木算、旅人算…試験が終わったら二度と出会わないような受験算数の難問はいったいいつ頃生まれたのだろうか。歴史をさかのぼると、人間は四千年も前からこうした問題に悩まされてきた。古代のエジプト人もあてずっぽうで問題を解き、ニュートンが考えた「ニュートン算」は、明治の数学者が「最モタチノ悪イ」と罵倒したほどの難問だった。
目次
0 受験算数の起源(「○○算」はいつからあったのか;江戸時代にあった「○○算」となかった「○○算」)
1 古代の万能算―人類はまず「アテハメ」で解いた(昔も今もヒトはあまり変わらない;エジプトの仮定法 ほか)
2 金貨と食塩水の四千年(小判の金の濃度は「金位」;「てんびん算」とは何か ほか)
3 最もタチが悪いニュートン算(ニュートン、ケンブリッジで「算術」を教える;ニュートン自身による「ニュートン算」 ほか)
著者等紹介
高橋誠[タカハシマコト]
1948年生まれ。算数教育史家、ライター、東京大学文学部倫理学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
317
鶴亀算をはじめとした〇〇算は実にたくさんある。これらを習得していなくても解くことはできるが、知っていればたちどころに解を得られるのである。明治28年にすでに『算術解放の極意』なる解説書もあったようだ。もちろん○○算の半数くらいは江戸時代からあった。本書の表題は『受験算数』だが、大半は副題の「難問の四千年をたどる」に費やされている。古代エジプトからバビロニア、古代中国、はてはニュートンにいたるまでの、いわば算数の歴史が解法の解説と共に語られる。やや難解なところもあるが、たしかに刺激的で興奮を誘う。2023/02/12
calaf
9
最後のニュートン算の私立中学の問題、面白すぎる...まぁ、受験生に取っては迷惑この上ないのかもしれませんが。でも、現実はそういうものなのですよね (笑)2012/07/26
本命@ふまにたす
5
現代日本の中学受験の「受験算数」について、その問題の由来を軸に論じる。ただ単にこういう問題があります、で終わるのではなく、解法についても具体的に検討されていて、小著ながら興味深く読める。2022/07/01
のぶさん
3
鶴亀算とか植木算とかの話かと思ったら、そうではなかった。序章として出ては来るが、てんびん算とかニュートン算とか、もっと難しい算数の話。解き方だけではなくて、そのような解法の歴史もひも解く。てんびん算の説明を読むと方程式というのはなんと素晴らしいのかと思ったが、ニュートン算はそもそも難解。最後に紹介されるK中学の入試問題(窓口に並んだ行列が何分後に解消するかという問題、もちろん、新たな人が行列の後ろにつく)のエピソードが面白かった。2015/01/06
monado
2
中学受験の特殊算の歴史。結局のところ、どれも限定された方程式ではあるのだが、方程式を使わず、特殊なやりかたで解こうとすることに意味があるのかは疑問。 義務教育が存在しない数百年前なら、商売上こういう解き方をするということを覚えることに価値はあっただろう。2024/06/08
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