出版社内容情報
バフチン、ベルジャエフ、トロツキー、ロートマン。20世紀ロシア思想の全貌を通史としてコンパクトに示す。
内容説明
革命の熱狂のなかで日常の変革を夢みた未来派とアヴァンギャルド運動。弁証法と唯物論によってソヴィエト哲学を確立していく革命家たち。亡命の地で霊性による哲学を問いつづけた宗教哲学者たち。言語の構造や、記号とイデオロギーの関係性に着目し、新たな芸術批評・社会批判を展開していったフォルマリズム、バフチン・サークル、モスクワ・タルトゥ学派。全体主義文化と言語中心主義をポストモダニズム批評で鋭く分析する「余白の哲学」グループ―。20世紀ロシアの豊饒な思想の森にわけ入り、その全貌を通史としてコンパクトに示す。
目次
第1章 バフチン―「ロシア哲学」の外の思想
第2章 実証主義を超えて
第3章 「ポスト宗教」思想
第4章 言語思想―フィロソフィーとフィロロジー
第5章 革命思想
第6章 ソヴィエト哲学の確立
第7章 雪解け時代の新潮流
第8章 ポストソ連思想
著者等紹介
桑野隆[クワノタカシ]
1947年生まれ。東京外国語大学大学院(スラヴ系言語)修了。現在早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻はロシア文化・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テイネハイランド
20
図書館本。週刊ダイヤモンド佐藤優氏の書評で知った本。ロシアの有名な批評家バフチンについて本を出している著者だけに、第1章などバフチンに関して述べた箇所が抜群に面白かったです。その他の章については、馴染みのない多数の哲学者、難解なその思想内容もあいまってか、一読するだけではとても咀嚼できませんでしたが、ロシアのダ・ヴィンチといわれたフロレンスキー、「意味づけられた言葉とは人間の意識のミクロコスモスである」と説いた心理学者ヴィゴツキー、「物語の構造分析」の先駆者プロップなど、興味深い記述がありました。2017/09/23
またの名
13
マニアックな史書。宗教哲学者ソロヴィヨフや全死者の技術的復活を構想したフョードロフ、心理学者ヴィゴツキー、社会主義内のプレハノフやボグダノフを巡る論争くらいは辛うじて予備知識で対応できるけど、人間宇宙主義者ツィオルコフスキー、モスクワ・タルトゥ学派とかは固有名をひたすら暗記する状態。エトキンドら精神分析批評で〆るのが印象的。人間の中に社会の制御が原則的に効かないフロイト的無意識という「不透明な核が存在することは、いかなる社会的ユートピアにとっても、またいかなる全体主義国家にとっても、解毒剤となっている」2019/01/25
Haruka Fukuhara
10
結構前に読んだ本。登録を忘れてた。岩波全書は最近気に入ってよく読んでるけど当たりが多い印象。この本もなかなか興味深かった2017/09/21
桜子
9
著者はバフチン研究者の桑野隆氏です、思想史というよりも「知の歴史」です。知らない言葉や、興味ある哲学者や思想家の名前等のメモもしました。読む以外の作業も同時に行ったため読了には時間を要しましたが、とても面白かったです!
さえきかずひこ
9
めちゃくちゃ面白い、20世紀のロシア思想についての入門書。バフチン、実証主義批判、宗教哲学、フォルマリズム、アバンギャルド、構造主義、革命思想、ソビエト哲学、タルトゥ学派、精神分析などについて広く触れている。知らない思想家の名前がバンバン出てくる本にウキウキするような方にオススメします。ぼくはとりあえず、シニャフスキーの『ソヴィエト文明の基礎』(みすず書房)を読んでみようと思う。2017/08/25
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- 和書
- あさひるばん 小学館文庫