岩波現代全書
インテリジェンスの世界史―第二次世界大戦からスノーデン事件まで

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000291798
  • NDC分類 391.6
  • Cコード C0331

内容説明

通信傍受や暗号解読は、第一次世界大戦時に外交・安全保障上の必要性から生じ、第二次世界大戦においては、傍受する対象国が複数となり、暗号自体も複雑化したため、米英間にUKUSA協定が結ばれた。戦争が終結するとソ連の脅威に対抗するため、この協定にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わり、ファイブ・アイズ諸国の体制が確立し、冷戦を裏から支えた。ソ連が崩壊し、冷戦が終結すると、肥大化したインテリジェンス組織は縮小させられたが、9・11同時多発テロによって、テロとの戦いという方向性が明確になっていく。こうして情報組織はネットから世界中のデータを吸い上げるようになる。国際政治の複雑怪奇な実態を裏から眺めるもう一つの現代史。

目次

第1章 通信傍受と暗号解読の歴史(通信傍受の歴史;第二次世界大戦までの米英の暗号解読活動)
第2章 米英インテリジェンス同盟の構築(米英情報協力の始まり;第二次世界大戦の終結とUKUSA協定)
第3章 対共産圏の通信傍受包囲網―冷戦前半期(NSAの誕生;ファイヴ・アイズの成立;冷戦初期のUKUSA;対ソ情報収集活動の進展―スエズ危機、ベルリン・トンネル作戦;拡大する通信傍受活動―キューバ危機、ヴェトナム戦争)
第4章 進化する通信傍受技術―冷戦後半期(通信傍受手法の技術的進展―通信衛星、海底ケーブル;UKUSA間の軋轢―デタントの波紋;人口に膾炙するUKUSA;ソ連への機密漏洩;苦悩するGCHQ)
第5章 変容を迫られるUKUSA―冷戦後(変化するUKUSA―湾岸戦争、情報組織に対する監視;同時多発テロの衝撃―9・11、イラク戦争、スノーデン事件)

著者等紹介

小谷賢[コタニケン]
1973年京都生まれ。立命館大学国際関係学部卒業、ロンドン大学キングス・カレッジ大学院修了、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。防衛研究所戦史部教官、英国王立防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員を経て、防衛研究所戦史研究センター主任研究官・防衛大学校講師(兼務)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koning

35
世界最高峰のSIGINTたるEchelonを運営するNSAとGCHQを軸にUKUSAの発展を俯瞰するという1冊。情報公開されるまでとスノーデンの暴露までは全てが当然ながらOSINTになる訳で、その辺の機微をどう捕まえてこの筋へ持って行ったのか?を想像すると楽しい。2016/05/08

K

7
他レビューにもある通りタイトルは誇大広告感が否めない。内容は20世紀以降の米NSAと英GCHQのシギント協力(UKUSA協定)の歴史に終始しており、インテルそれ自体の歴史、イミントやヒューミントの記述はほぼ無い。 しかし英米シギント史の本としては良書。限られた資料が丹念に研究されている(ただし事柄の性質上、スノーデン関連を除き最近の事情の記述は薄い)。個人的には政府暗号学校がGCHQに発展する経緯、英インテルが米インテルに主導を明け渡す過程、英米それぞれの強みを生かした協力などは勉強になった。2022/06/01

さえきかずひこ

6
米国の諜報組織NSCと英国のそれGCHQの歴史を粗述した一冊。米英中心の記述となっていて、両国の20世紀における諜報活動の様子が分かる。現代のネット諜報についてはごくわずかに触れているだけなので、現代のインテリジェンス話を知りたい人には向きません。2017/06/10

月をみるもの

6
日本の暗号をアメリカが、ドイツの暗号はイギリスが解読し、その結果を共有するところから始まった UKUSA (ユーキューサ)。最初だけイギリスがでかい顔できたのは全てチューリングのおかげなのに、あの仕打ちだからな。。。キャサリン・ガン事件も、本書で初めて知った。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B62016/08/17

タケイ

5
米英はWWⅡ中の日、冷戦期のソに対し、時にファイブ・アイズと協力しながらインテリジェンス面で世界の軍事をリードしてきた(キューバ危機やベトナム戦争など直接の成果が残せない事もあった)。9.11以降は、特定の国ではなく世界中の情報を傍受し続けることでいつどこで起こるかわからないテロに備える態勢に変わった。 世界でここまで通信傍受がされているとは知らなかった。プライバシーは重く考えられるべきだが、しかし監視をやめろとはもはや言えないほど、国防や安全保障にインテリジェンスが関わっている時代になっているのだろう。2021/12/14

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