出版社内容情報
川端康成の文学を日本的美意識と自然への回帰としてとらえるのではなく、生と死の境界を往還する言葉の追究、著者の言葉では魔界をめぐる小説の試みとして考察する。編年体で、時代状況や、三島由紀夫、小林秀雄らの文学者との交友、浦上玉堂、東山魁夷ら画家からの影響などを多面的に論じ、新たな川端像を提示する。
内容説明
作家が生涯をかけて探求した「魔界」とは?世界的な作家の文学的軌跡を、作品の内奥から論じ、新たな川端康成像を提示する。
目次
序章 原子爆弾と“東雲篩雪図”
第1章 戦時下の『源氏物語』
第2章 『十六歳の日記』から『伊豆の踊子』へ
第3章 モダニズムの結界
第4章 迷宮としての『雪国』:第5章 永劫回帰する虚無
第6章 「魔界」を映し出す言葉
第7章 稲妻と蛍
第8章 女身の探求
第9章 抱擁する「魔界」
終章 虚空に處はしめたまへ
著者等紹介
富岡幸一郎[トミオカコウイチロウ]
1957年生まれ。文芸批評家。関東学院大学文学部教授。鎌倉文学館館長。「表現者」編集委員代表。中央大学文学部フランス文学科卒業。在学中より評論活動を始め、1979年「意識の暗室―埴谷雄高と三島由紀夫」で第22回群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
9
泣く子も黙るノーベル文学賞受賞者であり日本の文学界の重鎮でもある川端康成。だが、その小説の魅力を自分が何処まで理解出来ているかというと難しい。『雪国』も『伊豆の踊子』も全然魅力が分からないし……そういうわけで平たく解説/批評された本書に挑んでみた。「魔界」をキーワードに、川端康成が西洋的でも東洋的でもあるようでない難しい領域の文学に挑んでいたことを解明する一冊。非常に分かりやすくタメになった。これを切っ掛けに、恥ずかしながら実は読んだことがない『みずうみ』に挑んでみようかと思っている。興味深い一冊だと思う2016/07/08
takao
0
ふむ2024/12/25