岩波現代全書
焼跡からのデモクラシー〈下〉―草の根の占領期体験

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291262
  • NDC分類 210.76
  • Cコード C0321

内容説明

戦後日本の民主主義は「与えられた/押しつけられた」ものなのだろうか。占領下の時代、人びとが、アジア太平洋戦争の過酷な体験を決定的な契機として、戦前からの平和・自由・共助などの伝統的価値観の基盤の上に、民主主義を自ら作りあげ、獲得していったことを、彼らが残した日記や雑誌への投稿、聞き取りなどを通して明らかにする。下巻では、自立と解放を模索した女性たちや、基本的な権利を奪われた在日朝鮮人たちの苦闘を辿るとともに、敗戦を経過しても継続した「帝国意識」の意味を考える。

目次

第6章 自由と民主主義の再創造(ある高校教員の戦後体験;ある小学校教員の体験)
第7章 女性の自立と解放をめざして(女性解放の息吹;あるダンサーの自立への願い;ある共働き家庭の妻の苦闘;中島飛行機元職員の結婚・離婚と自立;ある女学校・中学校教員の体験)
第8章 中国・ソ連へのまなざし(日中戦争の反省と中国観;シベリア抑留問題と戦後)
第9章 見えない他者(在日男性にとっての平和と民主主義;在日女性にとっての平和と民主主義)
第10章 変わらざる意識―あるエリート社員のインドネシア体験

著者等紹介

吉見義明[ヨシミヨシアキ]
1946年山口県に生まれる。1970年東京大学文学部卒業、1972年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、現在、中央大学商学部教授。専攻、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬参仟縁

23
河北農業学校・河北実業高校の山口章の軌跡。岩波文化を積極的に受容、進歩的教育活動を推進。アモルフ(広辞苑:無定形)だが、彼のような人が戦後日本の民主主義と自由の底辺を支えていた(19頁)。西筑摩郡木曽教員組合は’46年2月結成するも、急進的で同志的。郡教育会と反目、組織率は低かった(27頁)。数じゃないけどね。飯田市の松尾や下久堅の学校の話も出てくる(第7章)。上巻の伊那町の話と合わせて、伊那谷が教育や平和のメッカのような時代があったことは信州人として誇りに思う。2015/02/14

Toska

16
占領期日本人の精神生活を腑分けする鮮やかなメスさばきは下巻でも健在。教員、女性、中国・ソ連への眼差し、在日朝鮮人などが主なテーマ。戦後の新たな権利意識を実感する場として、労働者や教員の組合運動が存在感を誇っていたことが見て取れる。「運動」そのものが冷笑されがちな今となっては隔世の感。民族的な差別に加え、日本人以上の男尊女卑という二重苦にさらされた在日の女性たちの過酷だがパワフルな生き様にも強い印象を受けた。2024/07/15

takao

2
ふむ2020/04/03

Masakazu Fujino

2
焼跡からのデモクラシー下は二人の教員の民主主義教育と労働運動への関わりから、始められている。どちらも、最初は消極的に戦後教育や労働運動に関わっていくが、やがてどちらも教員組合運動に積極的に参加するようになる。状況対応的に自己革新していく彼らの姿が戦後民主主義を地域で支える実態だった。次は4人の女性たちが平和の価値と女性の権利の意味を発見していく。旧思想との血みどろの格闘の様子も描かれている。2015/05/07

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