内容説明
「独立か、自治か、共治か」というせめぎあいの中にあった内モンゴルにおいて、内モンゴル統治の最高責任者だった男・ウラーンフー。日本敗戦後の国際情勢をどのように読み、いかなる意図の下にいかなる権利を中国に向かって主張したのか。一見矛盾に満ちているかのような彼の行動から、今も中国が抱える民族問題の根源をあぶり出す。
目次
第1章 自決(自由連邦の夢;自由連邦の中身 ほか)
第2章 自治(「立ちあがった」中国人と闘う;自治の困難 ほか)
第3章 抵抗(農民代表毛澤東と遊牧の代弁者ウラーンフー;中国への理論的な反撃 ほか)
第4章 破滅(中国政府の包囲網;北京に闌ける反モンゴル人の宴 ほか)
著者等紹介
楊海英[ヨウカイエイ]
モンゴル名オーノス・チョクトを翻訳した日本名は大野旭。1964年、内モンゴル自治区オルドス生まれ。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。89年3月来日。国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了。博士(文学)。静岡大学人文学部教授。主な著作に『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上)(下)』(岩波書店、2009年、2010年度司馬遼太郎賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
19
○漢民族による他民族の支配の一例として参考になる部分が多いです。行動に移れるようになるまでじっと待てる点が戦略的な視点を持つ民族かなと思います。中華思想で善意に感謝することなく、他民族圧殺も躊躇しない国が近傍にいることに対する危機感をもっと持たなければヤバイと感じました。2023/12/12
BLACK無糖好き
5
そもそもの背景として、ソ連とモンゴル人民共和国、中国と内モンゴル自治政府の関係が把握出来た。又、民族統一のチャンスもソ連の対日参戦の際に内モンゴルが中国領にとどまるのを交換条件とした「ヤルタ協定」によって阻まれたという歴史を改めて認識出来た。本書ではモンゴル人指導者ウラーンフーの民族自決を目指した活動を通じて、当初は少数民族優遇政策を唱えていた中国共産党が、徐々に少数民族への抑圧を強化していく様子が詳細に描かれている。文化大革命での内モンゴル大量粛清まで突き進む流れは、因縁に近い毎度お馴染みの恐ろしさ。2015/05/13
takao
1
ふむ2023/11/14