内容説明
著者が勤めていた北海道大学で「東学党首魁」と書かれた遺骨が見つかった。誰が、なぜ、どのように、運んだのだろうか?遺骨の軌跡をたどって北海道、朝鮮半島、四国へと旅を重ねた結果、日清戦争のもう一つの側面、ジェノサイドの真実が浮かび上がる。アイヌ民族、東学、植民学をめぐる近代日本の植民地支配の闇の奥が、いま明らかになる。
目次
第1章 「東学党首魁」の遺骨を追って(「東学党」と放置遺骨、北大で発見;書付の主、佐藤政次郎をさがして ほか)
第2章 東学農民戦争―東学農民軍と討滅隊(北大で行われた「髑髏」奉還式;韓国・全州で行われた遺骨の鎮魂式 ほか)
第3章 北海道と朝鮮とアイヌ民族―植民学の新天地を求めて(佐藤昌介と佐藤政次郎;アイヌ民族への差別 ほか)
第4章 東学農民戦争と日本人(東学農民軍討滅日本軍兵士をさがして;伏せられた東学農民軍殲滅作戦の事実 ほか)
著者等紹介
井上勝生[イノウエカツオ]
1945年岐阜県に生まれる。1967年京都大学文学部卒業。北海道大学名誉教授。専攻は幕末・維新史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勝浩1958
9
明治維新からまだ二十数年しか経過していないのに日本は文明国であると自称し、朝鮮は未開の国としてそこに暮らす人々を蔑視した。そして、日本は朝鮮を強制的に保護国としたのであるが、当然に反日感情は爆発する。統監府は朝鮮に親日政権を組織することに努めていたので、抗日東学農民軍に対する討滅作戦という大弾圧の歴史は『日清戦史』では削除され、その後も殲滅作戦は存在しなかったことにされた。だから唯一の戦死者はまったく異なる戦いの戦死者として日付と場所を改竄されて『靖国神社忠魂史一巻』に掲載されている。欺瞞の国、日本。2013/10/27
みさと
4
北海道大学で、放置された段ボール箱から古新聞にくるまれた6体の頭蓋骨が発見された。その一体には「東学党首魁」と墨書され、添付された書面には韓国珍島で梟首されたものを「採取」したとあった。一体誰が何の目的で、そしてなぜそれが北大にあるのか。調査委員会が結成され、北海道、朝鮮半島での追跡がなされた結果明らかになったのは、アイヌ政策、植民学など日本の植民地支配において北大の前身札幌農学校が果たした役割、日清戦争時の東学農民軍鎮圧が凄絶なる皆殺しであったことなど、近代日本の植民地支配の闇の、そのまた奥であった。2021/10/27
ハチアカデミー
3
大学の研究室にて発見された6体の頭蓋骨。その謎を追う中で、日清戦争史には記載されていない、韓国珍島で起きた東学農民軍の反乱とその殲滅作戦の事実が浮かび上がる。韓国では関連する書籍が多く刊行され、日本の侵略に対抗するため朝鮮全土で繰り広げられた「東学農民革命」は民主化運動の始祖として広く知られている。「東学党首魁」と書かれた北大の首は、一方的な日本による殲滅戦、ジェノサイドともいえるほどの死者を出した事件後に持ち帰ったものであった。日韓双方の研究者・関係者に会い話をきき、この事件の全貌を解明せんとした力作。2016/01/31
100名山
2
1995年に北大古川記念講堂にダンボール箱の中に古新聞で包まれた六体の頭蓋骨が発見されました。そのうちの一体には「東学党首魁」と直に墨書きされていました。この遺骨の返還を巡る中で日本の朝鮮を保護国にした歴史に埋もれた東学党の反日抗戦と後備軍による殲滅作戦が発掘されます。 この手の本は著者の感情が先走り折角の事実の積み上げが嘘っぽくなってしまいます。事実を根拠を示しながら記せば、その先は読者が判断し、記憶され読み継がれるものだと思います。とはいっても無知の私には十分価値のある書籍でした。2018/12/14
takao
1
ふむ2020/10/27
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