出版社内容情報
地球規模の環境および経済危機を統合的に解決するためには個人の能力強化と強靭な制度づくりが不可欠である。環境経済学に「潜在能力を高める環境ガバナンス論」を取り入れることを提案する新しいアプローチのテキスト。
内容説明
地球規模の環境および経済危機に見舞われる今日、環境と経済の持続可能性はどうしたら実現できるのか。本書は、この課題に応えるには個人の能力強化と強靱な制度づくりが不可欠であるという視点のもと、環境経済学にアマルティア・センの潜在能力論を応用した「潜在能力を高める環境ガバナンス論」を取り入れることを提案し、その有効性を体系的に説明する。
目次
第1章 環境経済学の課題と方法
第2章 現代資本主義と環境破壊のメカニズム
第3章 環境経済学と潜在能力論
第4章 環境ガバナンス論
第5章 環境をめぐる費用と環境の経済評価
第6章 環境政策の手段
第7章 環境再生による地域再生
第8章 企業と技術と環境問題
第9章 地球温暖化問題と制度
終章 環境危機と経済危機の統合的解決を
著者等紹介
吉田文和[ヨシダフミカズ]
1950年生まれ。東京都立大学経済学部卒、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。北海道大学経済学部専任講師、助教授を経て、北海道大学大学院経済学研究科教授、北海道大学公共政策大学院教授。経済学博士。専攻は産業技術論、環境経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
5
マル経も、新古典派も、双方だけでは現代の厳しい環境汚染問題を経済的に解決できない(21頁)。真の経済発展が希求される一冊。よい生き方を志向する環境経済のあり方を追求されるのが共感を呼ぶ。A.センの潜在能力が環境経済を良好に保つアメニティにもつながっていくのを明らかにするのは清々しい。人間の安全保障の人権にも関わる環境権の発想も心強い。ピグー税、コースの定理、PPPは従来から指摘されてきた内容も踏まえている。病気にならないための環境保全である。第8章で、CSRを忘却した企業経営者にとっては適切な内容である。2013/05/18
がっち
1
環境ガバナンス、また経済評価などについても述べられており、環境経済をやる上で入門書・基本書として使いやすいと感じる。最近の環境政策にも述べられているので、最近のことに即したものであるのも近親感がわく。2013/05/11