出版社内容情報
古代ペルシアの王シャフリヤールは,王妃の不倫現場を目撃して以来,一夜限りの妻を娶っては殺す,という掟をつくる.宰相の娘シェヘラザードは自ら王の花嫁に志願し,夜明け前にそらんじている物語を聞かせる.話の続きを聞きたくなった王は次の晩まで彼女を生かしておくことにし,物語は次の晩,その次の晩と続いていく.
目次
枠物語―シャフリヤール王とシャフゼナーン王(ロバと牡牛と農夫の寓話)
商人とジン―第一夜~第八夜(第一の老人と牝鹿の話;第二の老人と二頭の黒犬の話)
漁夫の話―第八夜~第二十七夜(ギリシアの王とドゥバーン医師の話;黒き島々を治める若き王の話)
王子である三人の遊行僧とバグダードの五人の娘の話―第二十八夜~第六十九夜(王子である第一の遊行僧の話;王子である第二の遊行僧の話;王子である第三の遊行僧の話;ゾベイダの話;アミーナの話)
著者等紹介
西尾哲夫[ニシオテツオ]
1958年香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(京都大学)。人間文化研究機構・国立民族学博物館教授。総合研究大学院大学教授。専攻は言語学、アラブ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
192
森見 登美彦の『熱帯』に触発されて、新訳のガラン版『千一夜物語』全六巻を読むことにしました。年内読了予定です。まずは、第一巻、1200年以上に渡って読み続けられているだけあって、面白いアラビアン・ナイト・ファンタジーです。続いて第二巻へ。トータルの感想は、全六巻読了後に。 https://www.iwanami.co.jp/galland/2020/01/07
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
136
おはなしの箱庭に迷いこんで月をみてた。ナイチンゲールが語る夢は明けの明星とともに消えてしまうだろう。貴女のその銀の髪が眠っているまぶたにかかる、その瞬間がしあわせ心開きたいなどどうして言えよう首斬りおとしたいとのぞんだ私。名をくちにのせる‹シェヘラザード›響きに舌だけ震わせた。ナツメヤシの実のようにあまい。千一夜夜咄をきかせて、ほんとうは他ならぬ貴女のはなしがききたいのです。かたってシェヘラザード、まだ夜よ、明けないでいて。2020/10/05
ケイ
131
この装丁で次々と書店に並んでいくのをみているうちに、ほうっておくことができなくなった。バートン版とは別にガラン版があるというのも気になっていたために好奇心を抑えきれず。違いが分かるほどバートン版について覚えていないどころか、かすかに既視感がある程度。シャフリヤール王に対しシェヘラザードは、毎晩、床の中で殺されないように話をしていたのかとの記憶は違っていたようだ。眠りにつく前に、毎晩一つずつ読もうかと思っていたが、話の続きが気になってどんどん読んでしまった。2020/06/18
KAZOO
114
装丁などを見て挿絵があるのかと思いきやなくて残念な気分。というのは、昔(1960年代)、河出書房から出版されたバートン版は古沢岩美画伯の耽美的な挿絵がかなり収められていたことを思い出したからです。物語はすでにわかっていることが多かったのですが、訳が最近のものであるためにかなり読みやすくなっていました。5巻すべて読んでみようと思っています。2019/12/23
syaori
69
世界中の人々に東方への憧憬をかきたててきた千と一夜の物語。そのそもそものきっかけはガランがフランス語に訳した本書、ということで手に取りました。以前読んだバートン版と比べガラン版は上品で、多くの人が”アラビアンナイト”という言葉で思い浮かべる艶やかでエキゾチックなイメージに近いように思います。猥雑で生命力に溢れたバートン版の雰囲気も捨てがたいのですが、シェヘラザードが語る豊穣で「驚異と魅力に満ち」た物語にあっという間に惹き込まれてしまうのはどの版でも変わりません! 懐かしい物語との再会を楽しみながら次巻へ。2020/09/30