内容説明
身分違いの恋をして、見事に姫君のハートを射止める『小男の草子』。「内弁慶」や「弁慶のなきどころ」など、人物イメージの源泉ともなった『弁慶物語』。二つのお伽草子をとおして、史実と虚構のあわい、イメージの伝承と変遷、人びとの間に張りめぐらされた信仰のネットワークなど、室町人の豊かな物語世界が解きほぐされる。
目次
第1講 室町人の物語世界(物語文学の集約―お伽草子;物語絵の伝統;物語の新生;お伽の物語)
第2講 『小男の草子』を読む(庶民の栄達;智恵者とし久;小童神の恋物語)
第3講 『弁慶物語』を読む(判官物の誕生;天下一の豪傑;弁慶の冒険;物語のしくみと弁慶像の造型)
著者等紹介
徳田和夫[トクダカズオ]
1948年生まれ。学習院女子大学教授。中世説話・物語文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メメント・モピ
1
約2割くらいは理解出来てないかも…でも、それは私の力不足で、この本はとても分かりやすく面白かった。『小男の草子』では、清水寺と五条天神が少しゴチャゴチャになってしまった…。両者に関係性はあるのかしら。中世の物語や伝承、信仰の世界の中で張り巡らされているネット・ワーク。それを辿る学術的な手順に身を任せられて参考になった。 『弁慶物語』において弁慶が産まれた瞬間「世の中は明るいことだ」と言って笑ったエピソードと山に捨てられた後、様子を見に来た使者を「迎えに来たのか。連れて行け」と追い掛けるシーンが面白い。2022/08/05