内容説明
第46~61回。香菱や史湘雲も加わり、益々華やぐ大観園。姉妹たちの詩社では大勢打ち揃って聯句の会を開き、まさに絶頂の時を迎えていた。だが園の外では賈家の窮状がさらに深刻になり、家政を預かる王煕鳳も病の床についてしまう―。表面化し始める家庭内の亀裂と欲深な大人たちの泥沼に、少女たちは次第に巻き込まれ翻弄されてゆく。
著者等紹介
井波陵一[イナミリョウイチ]
1953年生。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。専攻は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Christena
10
あまり劇的なストーリー展開もなく、日常の細々とした生活が描かれている。風景や料理、衣装などの描写が詳細で、詩も豊富に詠まれ、ゆっくり読むには楽しい。それにしても、登場人物たちの気性が激しい。些細なことで喧嘩したり嘘をついたり。必要以上に面子を気にかけるのは国民性なのか。2018/03/08
しんすけ
2
賈赦(賈宝玉の伯父)が、史太君の侍女を妾にせんとして失敗する。重病の晴雯が命がけで宝玉の衣装を縫う。詩社に新しく香菱が加わる。王煕鳳が流産する。と、種々のエピソードは続くものの全体の流れは、茶の間に放映される家庭劇のように平坦に進んでいく。だが徐々にであるが、賈家が傾きかけていることを窺わせる。特に、王煕鳳の流産以後は、人的な繋がりが崩れていくのが手に取るように判る。それまでは王煕鳳が、人間交流をそれとなく取り仕切り侍女たちをも纏めていたのであった。2015/11/05
Tonex
2
新キャラが次々と登場し、物語は次のステージへ。2014/12/21
きりんの姉さん
0
大観園の少女達は驚くほど教養が高い。新入りの香菱が黛玉を師匠と仰いで詩作に没頭するさまは健気で可愛い。黛玉も宝釵も自分なりの詩論をもっているのは流石である。 雅を極める少女と宝玉達の外側で、細かいお金の話が沢山出てくるのがこの巻の特徴。やり手の切り盛り役の熈鳳が寝込み、探春が代役を務めるが、妾腹の負い目ゆえ、かえって厳しく原理主義者になってしまうのも切ない。熈鳳の筆頭侍女の平児がカドの立たないよう自分の主人と探春のあいだを懸命に取り持つ様子、それを報告した時の熈鳳と平児のやりとりには感じ入った。女の忠義。2023/09/18
Э0!P!
0
生々しい事件が多い巻。宝玉に宝琴を当てがわれそうになるなど、黛玉との恋物語に若干のスパイスが加わるが、そんな甘い宮廷劇を他所に、召使の間のトラブルが頻発する。(この巻通して、そんな話ばかりである)2022/05/24