内容説明
ささいなことに心揺らぎ涙をこぼす黛玉の姿に、思いあまった宝玉の告白。しかしそれは予想外の波紋を呼び…。美しい菊の咲き乱れる秋たけなわの大観園を、少女たちが興した華やかな詩社や、劉ばあさんを交えた楽しい宴などの名場面が彩る。
著者等紹介
井波陵一[イナミリョウイチ]
1953年生。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。専攻は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tonex
3
訳注が良い。ちょっとしたセリフやさりげない描写に込められた深い意味。訳注の解説を読んで初めてそういうことなのかと分かることも多い。各巻の冒頭に置かれた読みどころの解説も良い。2014/12/20
しんすけ
2
不思議に思うのは賈政(賈宝玉の父)が、宝玉を憎む気持ちと態度だ。第2巻では、詩才を見せる宝玉に諄く難癖をを付けていた。本巻では、宝玉の些細な不始末に対し、雇人の手を借りてまで折檻を加え重傷を負わせる。祖母の史太君の咎めだてが無ければ、その後も続いたのかもしれない。表向きの理由は「宝玉が勉強熱心でない」とになっているが、官僚という立場にも大きな因があるのでないだろうか。ぼくはそう思う。なぜなら、その後の宝玉の詩にも暗に官僚批判と想えるものが存在するからだ。2015/10/26
Э0!P!
0
優雅に景色や詩を楽しむ日々を送るが、合間合間に意外にも残酷な事件が起こる。侍女が死に、宝玉が拷問され、熙宝が殺されかけ、賈璉の愛人が首を吊る。金と面子がモノをいう世界で、金を掴ませて脅しておけば大概解決である。黛玉は前巻は、いわゆるメンヘラだったが、本巻では精神的な落ち着きを多少見せており、人間関係を客観的に捉えられるようになってきている。宝玉は当時の価値観では実益のないクズ人間だが、愛情こまやかさで気が効き、現代に生きる我々からすると男性の理想像ともいえるかもしれない。2022/05/05
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