内容説明
この世で生きて行くためには、誰でも自分のくらしを支える生業を身につけなければなりません。さまざまな職業があり、働くことのよろこび、かなしみがあります。赴任地から帰京し安堵する貫之、どうやっても上手く行かない時もあると語る世阿弥、何より「正直」を重んじた西鶴…。古典に描かれた「はたらく」人びとの心と姿を探ります。
目次
1 職業さまざま
2 人がはたらく風景
3 はたらく喜び、そして悲しみ
4 職業意識
5 世に処し、身を処す
6 はたらいて求めるもの
著者等紹介
久保田淳[クボタジュン]
1933年生。東京大学名誉教授。日本中世文学・和歌文学専攻
佐伯真一[サエキシンイチ]
1953年生。青山学院大学教授。日本中世文学・軍記物語専攻
鈴木健一[スズキケンイチ]
1960年生。学習院大学教授。日本近世文学専攻
高田祐彦[タカダヒロヒコ]
1959年生。青山学院大学教授。平安時代文学専攻
鉄野昌弘[テツノマサヒロ]
1959年生。東京大学教授。日本古代文学専攻
山中玲子[ヤマナカレイコ]
1957年生。法政大学教授・法政大学能楽研究所所長。日本中世文学・能楽専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
8
「詐欺師という職業はいつの時代にも存在し、彼らは常にその道のプロとしての技術を磨いているのである。ゆめゆめ警戒を怠ってはならない」(21頁)。特殊詐欺などとも言われて、また、今日も騙される高齢者のニュースの時代。井原西鶴『西鶴諸国ばなし』で、「物毎正直なる人は、天も見捨たまはず」(36頁)。社会的欲求を正当に満たす手段を生み出す努力を(39頁)。伊藤仁斎『童子問』は、「一にして万に之(ゆ)く、之(これ)を博学と謂ふ」(98頁)。雑学はあるかもしれないが、博学のレヴェルはまだまだ上にありそうな気がする。2013/11/18
ペンギン伊予守
3
一件いい企画だなと思えるタイトルではあるが、読んでみると歴史家の先生の居酒屋トークのような文章。佐伯真一先生が洒脱でいい感じ。特に何かを学ぶことができるという類の本ではない。著者は六名だが、一冊の本として評価すると、つまらないの一言だ。2014/06/18
ハル
0
「はたらく」をテーマに古典を紐解いていく一冊。現代にも通じることがいっぱい書いてあるんだけど何だか雅でいい感じ。 2017/12/05
ケンチャン
0
第二弾。4ページの枠内で説明する形式なので、本当に軽く読める。その分内容に深さはないが、手軽に触れられる本としての位置で良いと思う。2014/10/03
山がち
0
前巻に引き続き、やはり悲喜こもごも。色んな人生模様が見えてくる。個人的には、歌人についてたくさん書かれていたのでとてもうれしかった。自分の才能、向き不向きなんてわからない。迷いながらも、いつか本当は何が残っているのか気づくことがある。そして自らを追い込む。そんな芭蕉の生き方は、やり直しのききにくい現代の中ではどれほど有効かというのは少し迷うが、当時の身分制社会においても難しいものがあっただろう。なにはともあれ、古典の中にも現代社会で生きるための知恵があるというのが実にわかりやすく示されていたように思った。2013/09/15