内容説明
近年の社会の変化やガバナンスをめぐる改革の動きのなかで、大学という組織はどのように変貌を遂げつつあり、これからどこに向かうべきなのか。組織のガバナンスに関する原理的な考察―大学と国家・市場との関係、大学という組織の自律性をどう考えるか、ガバナンスの歴史的変容、NPMと大学評価―と、これまであまり光が当てられてこなかった大学の成員としての職員や学生に着目して大学組織の新しいあり方を探るという、二つの視点からアプローチする。
目次
序論 大学という組織をどう見るか
1 大学と国家・市場
2 大学の自律と管理―新自由主義時代における
3 高等教育のガバナンスの変容
4 NPM・行財政改革と大学評価―評価社会における大学と組織
5 大学職員の位置
6 大学構成員としての学生―「学生参加」の歴史社会学的考察
著者等紹介
広田照幸[ヒロタテルユキ]
1959年生まれ。日本大学文理学部教授。教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山がち
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大学の自立性の問題では、産学協働人財育成円卓会議などをはじめ経済界のカリキュラムへの介入などが述べられている。さらに、知財戦略では特許関連で大幅な赤字を生み続けるなど上手くいっておらず出資の規制をゆるめることで新自由主義を推し進めている。また、大学法人化がなされても実質的に文科省の出先機関として機能しており、「影の理事会」としての役割を担うなど管理主義的なところは変わっていないという問題がある。その他、職員のキャリアパスの確保の重要性など、興味深い論点がいくつもあった。シリーズの中でも特に面白いといえる。2014/05/18
Hirokanda
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大学教授が書いた本なだけあって、小難しい言葉・表現が多く、教科書的な印象は拭えないものの、歴史的に大学が関わるステークホルダー(政治・産業・学生)との利害関係がうまく整理されており、大学に勤める人間として、読んでいて損はない一冊、という印象。 特に、職員である私にとっては、今後の求められる職員像についても1章使って説明してくれているのはわかりやすかった。 詳しい読書メモはnoteに記載した。 https://note.com/hirokanda/n/na7c902b3c67c2020/04/26