出版社内容情報
海を渡って来た人々が、列島の文明化に果たした役割はきわめて大きい。須恵器や鉄器の製作、馬の飼育などの産業技術、文字の利用や思想・文化は、どこから列島にもたらされ、定着していったのか。その具体的な姿を考古学研究の最新成果を踏まえて明らかにし、ヤマト王権の展開と律令制国家における渡来系移住民の位置づけと歴史的意義を考える。
内容説明
海を渡って来た人々が、列島の文明化に果たした役割はきわめて大きい。須恵器や鉄器の製作、馬の飼育などの産業技術、文字の利用や思想・文化は、どこから、どのように列島にもたらされ、定着していったのか。その具体的な姿を考古学研究の最新成果を踏まえて明らかにするとともに、律令制国家の中での渡来系移住民の位置づけと、その歴史的意義を考える。
目次
“渡来系移住民”を考える
ヤマト王権と半島・大陸との往来
渡来系移住民がもたらした産業技術―畿内地域の鍛冶生産と馬生産
列島各地の渡来系文化・渡来人
律令制国家の政治・文化と渡来系移住民
古代の朝鮮半島と日本列島
座談会 “渡来系移住民”と古代社会(吉村武彦;千賀久;亀田修一;田中史生;吉川真司)
著者等紹介
吉村武彦[ヨシムラタケヒコ]
1945年生。明治大学名誉教授。日本古代史
吉川真司[ヨシカワシンジ]
1960年生。京都大学教授。日本古代史
川尻秋生[カワジリアキオ]
1961年生。早稲田大学教授。日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
16
この「古代史をひらく」シリーズは、どれを読んでも間違いないんだけど、なかでも本書の面白さは格別!! 文献学と考古学が違いを補完しあいながら描き出す、半島と列島の軋轢と交流。律令以前の倭国はずっと百済べったりで、新羅と高句麗は仮想敵国だったと思いこんでいたのだが、全然そんなことはない。正倉院の宝物の多くも唐からではなく新羅経由でやってきた可能性が高い。朴天秀さんの描き出す、ローマングラスとイスラムグラスの世界分布図を見れば、半島こそが日本が世界と向き合う際の窓口であったことが実感できる。2020/07/04
かんがく
9
「帰化人」でも「渡来人」でもなく、「渡来系移住民」とのワードをあえて選択。このシリーズを読むのは都城に続き二作目だが、最後に執筆陣による対談があるのも良い。渡来人の政治的・文化的影響というものが予想をはるかに超える大きさであることが実感できる。また、新羅との関係を対立と一面的に捉える遣唐使中心史観への批判など、文献史学を考古学で乗り越えるような試みも刺激的であった。鉄、馬、文字、カマドあたりが重要な要素となっていることを実感した。2021/05/03
しんさん
5
シリーズ「古代史をひらく」3冊目。この巻もめちゃくちゃ面白かった。当時は人口の3割が渡来系だったという説もあり、政治、文化、技術の発展に多大な影響があったのだろう。倭政権は中心が奈良東南部から佐紀に移動したり、高句麗攻略の失敗で佐紀勢力が衰退した結果、河内勢力が台頭したり。河内は新羅と関係が深く、百済は倭王権と北九州と両面外交してたりで、カオスだったんだな。古代史は、文献、古墳、出土物、朝鮮との関係などトータルで研究しないと真実に近づけないみたい。研究が進んだ頃、老後に学び直すのが楽しみ。2022/04/19
Oltmk
3
文献学と考古学を用いて大陸・半島から日本にやってきた渡来系移住民たちが古代日本にどのような影響を与えたのかを分析しているが、歴史学での「帰化人」と「渡来人」のどっちの言葉を扱うなどの難しさを痛感する。馬生産と鍛冶技術の持ち込みなど、これからの百済・新羅・高句麗との三国との複雑な交流史による古代日本史や、統一新羅と律令制下の日本との交流史が描かれる事に期待できる書籍で、古代ヤマト王権と半島・大陸交流史研究の発展に期待したいです。2020/07/11
おらひらお
2
2020年初版。帰化人と渡来人と渡来系移住民の違いを知る。古代史+考古学の内容。2021/05/02
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- 和書
- 知らないと恥をかく漢字