若者の気分
趣味縁からはじめる社会参加

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  • サイズ B6判/ページ数 137p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000284554
  • NDC分類 361.6
  • Cコード C0336

出版社内容情報

若者が,自分たちの声や主張をより広い領域に向けて届けたり,現在の苦境を乗り越えようとするとき,手がかりとなるのは何だろう.本書は,バンド,同人誌サークル,ファンクラブ,サポーターなどの「趣味縁」をきっかけに,好きになれない相手とさえ必要に応じて協力関係を築きながら社会に参加する若者たちの姿を描く.

内容説明

「趣味縁」の可能性とは何か。国家でも会社でも家族でもなく、私的な趣味のつきあいのなかに、若者が政治や公共性へとつながる密かな通路があるのだとしたら、それはどのようなものなのだろう。本書は、社会関係資本論を考察の補助線にしながら、近世にまで遡る趣味縁研究の歴史を手がかりに、さらに韓国の若者との比較を含めた調査データを分析することで、この問に迫っていく。

目次

1 社会参加・公共性・趣味縁(社会参加と公共性;濃密化する友人関係;ウェブ的自己と関係優先志向;公共圏にかかわる諸問題の浮上)
2 社会関係資本としての趣味縁(社会関係資本論とは何か;社会関係資本としての趣味縁;趣味縁の求心力;社会関係資本論への批判)
3 趣味縁と社会参加、その歴史(江戸時代の趣味縁;サークル運動の隆盛;楽しみとしての社交;オタクの公共性)
4 趣味縁の潜在力とは何か―調査データから考える(趣味縁調査;趣味縁の概観;趣味縁の効果;集団以外の効果;趣味縁の現在とこれから)

著者等紹介

浅野智彦[アサノトモヒコ]
1964年生まれ。東京学芸大学准教授。社会学(自己論、アイデンティティ論、物語論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

センケイ (線形)

8
どちらかといえばまず間接的な根拠や関連する概念を集めて外堀を固めていっている本だと思う。なので、そうした関連項目への寄り道も楽しめるほうが、より良い読書体験になるのではないだろうか。目玉になるのは恐らく4章の「趣味縁の潜在力とは何か」だろう。公共性を一般的信頼と政治参加 (政治参加はさらに複数の型) に細分化している分析は誠実という感じがする。誠実である分、ズバリこうだ!という結論ではないが、その中で主張できることや、より調べるべき課題が緻密に描かれている。2022/08/31

古戸圭一朗

4
「趣味縁」というものから人々が公共性へアクセスすることの可能性を探った本。公共性というテーマへの社会学的アプローチと言えるだろう。もっとも最後の統計分析では、趣味縁が公共性への接続を促進するものであると諸手をあげて言えるものではないことがあきらかになった。個人的には「オタク文化」がそのイメージとは逆に公共性への接続可能性を持っているのではないか、という仮説が面白かった。 気を付けねばならないのは、趣味を社会参加への「手段」として考えてはならないことだ。2015/07/28

とみた

4
タイトルの通り、趣味と公共性という一見結びつかないもののつながりを見る著作。趣味縁から公共性につながる例としてげんしけんが出てたことに驚き。問題意識に引っ張られることなく、趣味友人、高校の部活と公共性は関係なく、複数の集団に属した多元的所属が公共性に関連するということを冷静に見る点が誠実でよいと感じた。個人的には、小説・文学・哲学が他の趣味と相対的に比べて趣味友人をもちにくい点が気になった。2011/08/09

きいち

3
実感値とは一致する。でもこの社会参加って、例えばネトウヨ的なものと近い危うさがあって、落とし穴がどこにあるのかうまくつかまえられない。※ソーシャルキャピタルやネットワーク論、つながり論のブックガイドとしてとても使える本だ。2011/09/14

MasakiZACKY

2
趣味縁を社会関係資本とみなし、それが公共性や社会参加につながる可能性について述べた一冊。かつては内閉的な集まりで、意識が外側に向かなくなると危惧されていた趣味集団。しかし実は逆の効果を持っているのだという話。その事例として俗にいうオタクを挙げているのが面白い。古典的な定義や歴史的な流れなどから確認しつつ話が展開され、しっかりした議論がされている。最終章の、ある調査結果に関する考察も興味深い。集団内での対立や和解経験、多様な趣味集団に属することで得る自己の多元性など、そのメリットを活かし社会参加に繋がるか。2012/07/04

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