内容説明
日清戦争から冷戦後の時代にかけての百年間に、近代日本が経験した戦争と戦後との関係を、政治の変化に着目して考察する。近代日本の戦争は、時として既存の政治体制に対して大きな変革をもたらしたことを、戦時体制下の軍事化・民主化・植民地化の過程と、戦後体制におけるそれらの過程の連続と逆転を追跡しながら検証する。また、日本の近代化の必然的所産であった天皇制の固有のジレンマが、十五年戦争の戦後に残された戦争責任問題をいかに複雑化したかを論ずる。さらに、戦争の時代にあって「少数者」の重要性を認識し、「少数者」として生きた知識人たちの歴史的役割を明らかにする。
目次
1 戦時体制と戦後体制―日清戦争から冷戦まで(日清戦争百年―一九九四年の時点からの考察;戦時体制と戦後体制)
2 戦争の時代の政治とイデオロギー(日本における「地域主義」の概念―ナショナリズム及び帝国主義との関連についての歴史的分析;満州国国家体制と日本の国内政治―戦時体制モデルとしての満州国;独ソ不可侵条約下の日中戦争外交―イデオロギーと権力政治)
3 天皇と天皇制(日本近代化と天皇制;昭和期の政治と天皇;天皇機関説事件の政治史的意味;宮廷政治家の論理と行動―『木戸幸一日記』に見る重臣イデオロギー;和辻哲郎の「尊皇思想」)
4 戦争の時代と知識人(吉野作造と現代;南原繁百歳;反歴史主義的歴史観―田中美知太郎『時代と私』についての一感想;普遍主義的経験論者―ジョージ・B サンソム『西欧世界と日本』をめぐって;第二次世界戦争前夜のヨーロッパと岡義武;戦争の時代についての少数派知識人の回想―岡義武の場合;吉野作造と丸山眞男)
著者等紹介
三谷太一郎[ミタニタイチロウ]
1936年岡山市生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学名誉教授。日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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