出版社内容情報
聴覚的に想像力を喚起する言語、アラビア語に生まれた、朗誦される聖典『クルアーン』(コーラン)。世界14億人が人生の指針とし、現代社会にも強く影響を与え続ける力の源泉はどこにあるのか。揺るぎない「神の言葉」を読む。
内容説明
言語による奇跡は、いかにしてもたらされ、継承されてきたか。「誦まれるもの」という名をもつ、イスラーム唯一の聖典『クルアーン』。そこに主張されているのはどのような世界観なのか。壮大なイメージを探険する。
目次
第1部 書物の旅路―「神の語り」から書物へ(朗誦する啓典の誕生;正典の結集;内容と構成;紙と写本の帝国;現代に生きる聖典)
第2部 作品世界を読む―章句が織りなす人間世界(ムハンマドの生きざま;預言者の町マディーナ;アブラハム的世界;唯一神のコスモロジー;イスラーム法と信仰儀礼;人生と社会運営のための規定)
著者等紹介
小杉泰[コスギヤスシ]
1953年、北海道生まれ。1983年、エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。法学博士(京都大学)。現在、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授、同研究科附属イスラーム地域研究センター長、日本学術会議会員。イスラーム学、中東地域研究専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
3
最も良き語りかけ 真冬でも脂汗を流す啓示体験 ダイナミックな対話の反映 マッカ期の短く鋭い警告 写本や朗誦の消失可能性 師弟相伝で学ぶ原則 芸術品としての高水準な写本 聴衆との相互関係の中で展開される語り 天地創造や宇宙の出来事としての徴 多様な解釈が可能な両義的章句 アッラーへの良い貸付けという比喩 寡婦と孤児を保護するための一夫多妻制 奴隷解放の強い勧め 婚姻外の性的関係への厳しい規定 母親重視の親への孝行 欲望を全体として抑制する断食 許された放棄と賠償による過剰報復の禁止 多様なイスラーム社会状況2025/05/10
KAZOO
2
岩波文庫の「コーラン」上巻を読んでかなり私にとっては荷が重いなあと思い、ちょっと休んでいたのですが、購入していた本でこの本があることを思いおこして、読みました。もともと副題が、書物誕生「新しい古典入門」ということで、コーラン(この本ではクルアーン)成立した背景や内容の解説が詳しく説明されています。当時の歴史が中心なのですがコーランを読むにはこれくらいやはり理解していないとだめだなあと感じた次第です。これでコーランの中下巻にも少しはたどり着けそうな感じです。2013/05/01
kero55
1
コーラン、について知っていることって、イスラム教の聖書みたいなもの?程度だったけど、 こちらを読んで、すごい成り立ちの書物だったのだな、と驚きました。 なんだろう、911とかそういうので、イスラム教て怖い、みたいに思っていたけど、教義は新しいものを包括させつつ発展していき、来世も現世(実生活)も、政治も法も、全てを含むものなので、かなり壮大で驚きました。 個人的には、口に出して謳うことがコーランである、という部分に、日本の言霊みたいなものを感じました。 奥が深いですね。 他の解説書も読みたいです。2021/07/26