出版社内容情報
ラテン文学の頂点に立つ二人の詩人ウェルギリウスとホラーティウスは、ともに激変する内戦時代のローマを生きた。ようやく到来した平和の時代にあって、二人は作品に何をこめようとしたのか? ラテン文学の黄金期をつくった叙事詩『アエネーイス』と抒情詩集『カルミナ』を読みとき、ラテン文学ならではの魅力と特質を語る。
内容説明
ラテン文学の頂点に立つ二人の詩人ウェルギリウスとホラーティウスは、ともに激変する内戦期のローマを生きた。ようやく到来した平和の時代にあって、両詩人は作品に何をこめようとしたのか?ラテン文学の黄金期をつくった長篇叙事詩『アエネーイス』と詩集『カルミナ』を読みとき、ラテン文学ならではの魅力と特質を語る。
目次
第1章 内戦と平和
第2章 ギリシャ文学の伝統
第3章 『アエネーイス』の世界
第4章 『カルミナ』の趣
著者等紹介
逸身喜一郎[イツミキイチロウ]
1946年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。英国セント・アンドルーズ大学Ph.D.西洋古典学。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たかみりん
2
ラテン文学の読み方をウェルギリウスとホラーティウスを中心に解説。セミナーの内容が元になっており、初学者にも分かりやすい。ラテン文学を読むにはギリシア文学、ギリシア・ローマの歴史、当時の政治情勢や時代背景、詩のジャンルとラテン語、韻律の知識…と膨大な前提知識が必要だそうだが、それらについて実例も交えつつ簡潔丁寧に触れられている。おかげで詩そのものの引用は決して多くはないが、それだけでも二大詩人の凄みが改めて感じられる。ちなみに三大でないのは二人が突出しすぎて残りの一人に誰を入れるか異論があるからだそう。2013/05/28
Rico_bosin
1
ウェルギリウスとホラティウスのラテン文学は,内戦を終わらせ平和を招来したアウグストゥスの時代を言祝ぐことが目的の一つとしてある。それは知識として持っていたが,これほどに内戦の痛みを引き受けたものだったとは。『アエネーイス』におけるローマ人の故地と考えられていたトロイア落城の後悔と哀しみ。アエネーアースに捨てられ自殺したカルタゴ女王ディードーの解けない怒り。全てを引き受けて建設されるローマは「しかしローマ人よ,お前は諸民族を力〔権威〕で支配することを心せよ」とうたわれる。読みどころ満載。これはいい本です。2014/05/18
kiriya shinichiro
0
これも岩波セミナーの本。ローマの歴史をかじってないと難しいかも。 いろんなモチーフがどこから来たか、物語はどのように語られるか、そしてこれらラテン文学はみんなギリシャ文学を踏まえた詩だった、という指摘はわかりやすい。 個人的には「カーペ・ディエム」にエロティックな意味があったってことにびっくりした。映画の「カーペディエム ~今を生きる~」の真面目な先生の印象が強かったから。やっぱり基本の古典には、親しんでおかないといけないんだなー。2014/03/15