出版社内容情報
ペリー来航から終戦までの百年間、教育、産業、テクノロジーなどの分野を含めて、「音楽」をめぐるあらゆる営みが、劇的な変容を遂げていった。第一巻では、軍楽隊の導入とその民間への広がりによって誕生した市中音楽隊、ジンタ、チンドン屋などの様相を描き、併せて学校唱歌から軍歌、壮士演歌までの展開を叙述する。
内容説明
音楽の「近代」を空前の規模で俯瞰する著者渾身のライフワーク。第一巻では、軍楽隊の導入とその民間への広がり、学校唱歌から壮士演歌までの流れが詳細に叙述される。
目次
トントントンで始まる歴史
第1部 軍楽隊の市民化―練兵場から公園へ(軍楽隊;鹿鳴館;日比谷公園奏楽)
第2部 民間楽隊の系譜―ブラスバンドの土着化(市中音楽隊;少年音楽隊;ジンタ;チンドン屋)
第3部 学校唱歌の通俗化―教室から大道へ(唱歌;軍歌;「鉄道唱歌」;寮歌;演歌)
著者等紹介
細川周平[ホソカワシュウヘイ]
1955年生まれ。東京芸術大学大学院音楽研究科博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター名誉教授。専門分野は近代日本音楽史、日系ブラジル文化史。著書に、『遠きにありてつくるもの―日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』(みすず書房、2008年、読売文学賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
21
「音楽」を相対化していく快感。「序章トントントンで始まる歴史」しか読んでないのが、この序章は素晴らしいので一読してほしい。黒船の到来によって否が応でも「普遍性」のシステムに組み込まれ特殊化されていく。これを近代化という。普遍性のワナにはまっていく。「音楽」という言葉は近世までほとんど使われることなく、使うときは中国の雅楽という意味だった。日本には神楽、雅楽やわら唄などはあってもそれらを包括する「音楽」という概念はなかった。洋楽との出会いは、異なる文化の音楽と出会いとは質の異なる出会いであり、社会を変えた。2021/01/15
小鈴
20
メモ。第一部軍楽隊の市民化ー練兵場から公園へ。第1章軍楽隊。ペリーの到着はブラスバンドの到着。兵を統率するためのブラスバンド。 日本も西欧の軍事システムの部品として軍楽隊を導入。第2章鹿鳴館。西洋化のための舞踏会と音楽会。舞踏会の一部は体育(社交ダンス、遊戯)に。舞踏会のための音楽が軍の行進曲とは異なる目的で器楽を広める。主に上流階級に。第3章日比谷公園奏楽。日本初の西欧的公園の成立。日比谷音楽堂は、軍楽隊 のブラスバンドの発表の場。開かれた公園なので中流層に「洋楽」が広がる。外なので会場外でも聞こえる。2021/01/24
小鈴
17
メモ。第二部民間楽隊の系譜ーブラスバンドの土着化。第1章市中音楽隊。ブラスバンドの二つの顔。軍事的な顔と庶民の顔。国家儀式の一部はブラスバンドによって執行。19世紀以来、国家国旗や太陽暦と同じくらい、普及した国際習慣。軍にはブラスバンド有り。そして、退役軍楽隊が町にでて楽団を結成、庶民に普及。第2章少年音楽隊。第3章ジンタ、サーカス小屋で「美しき天然」、ヨナ抜き短音階とワルツが普及。田中穂積作曲。軍楽隊とは異なる。少年音楽隊、ジンタは消滅。第4章チンドン屋。街頭宣伝の環境音と一体化した音へ。土着化。2021/02/03
しゅん
6
やっと一冊読了。ペリーの来航自体に音楽的衝撃があった話。軍楽隊としてのブラスバンドがまず西洋音楽として先行する。唱歌研究が面白い。チンドンは知っていたけどジンタはほとんど知らなかったな。2021/08/04
takao
1
ふむ2024/10/20