内容説明
江戸から明治前期にかけての日本経済史の研究は、戦後驚くべき発展をとげた。本書は、優れた米国人歴史家である著者がその成果を駆使して書き上げたものである。日米の異質な学問伝統の出会いが生み出した、清新な日本経済史像を示す。
目次
第1部 伝統的村落(土地制度;農業奉公人;賦役;小保有地;政治的権力の組織)
第2部 村落の変貌(市場の成長;農業技術;労働の変貌;名子の変貌;協同集団の衰退;新しい階級関係;村落内の政治闘争;農村の変化と近代日本)
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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1959年初出。1970年邦訳初出。家族は、集団全体が生き残るためにどうしても誰かを始末しなければならなかったばあいには、価値の少ない成員を最初に始末して負担を軽くした(21頁)。残酷な時代。凶作にも名子(隷属労役農民;広辞苑)が生きながらえるよう、親方が助けてやった(42頁)。名子は台帳に、土地保有者としても家長としても記載されてはいなかった(51頁~)。連帯性を維持する努力は、逸脱した意見や振舞が出ないように、私事までが公的性格を与えられるやり方に現れる(93頁)。 2014/12/02