感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
11
20世紀の西洋中近世史に多大な影響を与えたフランス・アナール学派の簡潔な概説。著者はイギリスの文化史家ピーター・バーク。ブロックとフェーヴルの第一世代からブローデルの第二世代を経て、デュビー、ル・ゴフ、ル・ロワ・ラデュリの第三世代へ、各世代の中心的な人物に的を絞って解説。同学派の影響を受けた他国の歴史家、すなわちイタリアのギンズブルグ、アメリカのデーヴィスやダーントン、ポーランドのゲレメクなどはちょっと触れる程度で、少々残念。2015/02/14
きつね
1
歴史学って政治のことばかり、偉大な人物のことばかり、決定論ばかりでその時代の人達の能動的な思考に迫れなくね? みたいな事は高校の授業を受けながらぼんやり考えていたが、それきりだった。そんな過去の違和感がややスッキリ。たいへんコンパクトでわかりやすい入門書だと思う。すくなくとも門外漢の私にもアナール学派の人達が旧来の何を批判して「新しい歴史学」を提唱したのか、問題意識の形で受け取れた。 ポール・リクール『記憶・歴史・忘却』の歴史学関連の議論が全くわからなかったので副読本に読んだ。フーコーの副読本にも可。2012/08/10